若き女性が手がける
ハイセンスな台湾茶ブランド
台湾を代表する特産品と言えば、まず浮かんでくるのが烏龍茶です。実際、台北の町を歩いていると、数多くの茶葉店や喫茶店を目にします。当然ながら、競争の激しい台湾茶業界ですが、その中で、ひと際注目を集めているのが、ここ「琅茶(ウルフティー)」です。
店があるのは「民生社区」と呼ばれるエリア。ここは緑溢れる閑静な住宅街として知られ、近年は老アパートを改装したカフェやショップなどが増えています。パイナップルケーキの名店、「微熱山丘(サニーヒルズ)」もすぐ近くに。
「琅茶」はわずか4坪ほどの小さな店舗ですが、白を基調とした明るい雰囲気で、畳の敷かれたロフトもあります。
オーナーのArwenさんは、以前は大手IT企業でデザイナーとして活躍していた女性。実家は高山茶の産地として有名な阿里山にあり、父親は名の知れた選茶師です。小さな頃からお茶の世界に親しんできたバックグラウンドをもちます。
そんな彼女は台北にやってきた頃、自分と同世代の若者たちがペットボトル飲料やドリンクスタンドばかりを利用し、本格的な台湾茶を楽しむ機会が少ないことに驚いたと言います。そこで30代に入ったのを機に独立。「台湾が誇る茶の文化を守っていきたい」という想いから、誰もが気軽に楽しめる台湾茶ブランドを立ち上げたのでした。
当初はインターネット販売のみでしたが、2014年に店舗を開設。父親が厳選したハイクオリティな茶葉はもちろん、Arwenさんがデザインしたセンスの良いパッケージも瞬く間に評判を呼び、台湾茶業界に新たな旋風を巻き起こしました。
2018.06.15(金)
文=片倉真理
撮影=片倉佳史