今、台中では料理もインテリアも美しいレストランが増えている。食道楽の都で評判の高い名店を選び、美食の最新をお伝えする。

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2つの文化を融合させる
独創的なフレンチが話題に

◆Le Moût (ル・ムゥ)

 現在、世界で最も注目されている女性シェフのひとり、陳嵐舒さんがオーナーシェフを務めるレストラン。

宜蘭産鴨胸肉のロースト。

 台湾出身の陳さんはパリやカリフォルニアの名店で経験を積んだ後、故郷に戻り、2008年、この店を開業した。そして早くも、世界的な賞を数多く獲得。その活躍ぶりが脚光を浴びる。

左:陳シェフはルレ・エ・シャトーの2016年度ウーマン・オブ・ザ・イヤーに輝いた。
右:台中のレストランシーンをリードするフレンチ「ル・ムゥ」のダイニング。

 「アジアの味覚や精神をフランス料理に結合させたい」と言うように、シェフは自らのルーツへの思いを料理に込め、独自の境地を開く。そのスタイルは、子どものころに食べていた干し大根入り卵焼き“菜脯蛋”を再構築した前菜や、南投産のバラと緑茶を使った肉料理などによく表れている。

左:炙った太刀魚のボイル、ムール貝と金針花を添えて。
右:菜脯蛋をイメージしたアミューズ・ブーシュ。卵、干し大根の漬け物のムース、揚げた米が溶け合い、懐かしい菜脯蛋の味を醸し出す。
左:南投産のバラと牛タン、緑茶とともに。
右:デザートは金柑やチョコレート、炭を使って“月”を演出。以上、3,500元のコースより。

 コースの構成はエレガントで詩的。デザートも叙情に富む。端正なカーヴには2000本のワインをストックして、ソムリエの用意も怠りない。この店のテーブルに着くため、各国の美食家が台中を目指しているという。

左:クラシカルなデザインの店内。
右:ワインカーヴ。

Le Moût (ル・ムゥ)
所在地 台中市西區存中街59號
電話番号 04-2375-3002
営業時間 11:30~14:30、18:00~22:00
定休日 月・火曜 
http://www.lemout.com/
※要予約。サービス料別

取材・文=上保雅美
撮影=小野祐次
コーディネイト=トップタイワン・メディアファクトリー