紀元前から愛される
景勝温泉地シルミオーネ
太陽燦々なイメージのあるイタリアに、あったかーい温泉ってちょっとすぐに連想できないかもしれませんが、日本と同じように火山帯を有する国ですので、温泉が涌く地が多くあります。その歴史は古く、古代ローマ時代にはすでに各地にさまざまな温泉施設が完備されていました。
そんな温泉地イタリアから、古代ローマ時代の遺跡も残る歴史深い温泉地であり、イタリア最大の湖「ガルダ湖」に面した景勝地であることから、高い人気を誇る「シルミオーネ」をご紹介します。
シルミオーネはイタリア北東部にあるガルダ湖の南端に位置します。こちらがガルダ湖、イタリアで最大面積を誇る湖です。
まるで海のように広くて美しい湖と、遠くに雄大なアルプス山塊を望む絶景で、イタリアでも人気の観光スポットです。
湖の中心に向かって突き出した半島の先端にシルミオーネはあります。小さな半島の先端ですので、まるで湖の真ん中に浮いているような感じ。周囲ぐるりと湖の景色を楽しむことができます。
旧市街の入り口はスカラ家の古城に守られており、橋を渡ってのみ入ることができるようになっています。
右:シルミオーネ旧市街の街並。
右:シルミオーネにある世界的に有名なソプラノ歌手マリア・カラスの別荘。
温泉の湧くこの町は、紀元前1世紀ごろから保養地として使われており、古代ローマ時代最古の温泉と言われています。その名残である古代ローマ時代の保養施設として建てられた別荘の遺跡「グロッタ・ディ・カトゥッロ」も残っており、その跡地を訪れることができます。
ちょうど町の先端、湖をぐるりと見渡せる絶景ポイントにあるこの遺跡はかなりの大きさで、当時の保養施設が華やかで立派であったことが伺えます。
きっとローマ時代の人々も温泉を愛して、のんびり癒されたのでしょうね。
その温泉を楽しむ心はもちろん、現代にも受け継がれています。次に現在の温泉施設についてご案内します。
文・撮影=藤原亮子