◆ヨル15℃(代々木八幡)
天才ブーランジェが
食べたかったものを具現化
「えっ、寿司ですか?」
朝食、ランチと賑わうベーカリーカフェ「15℃」が、2017年12月1日からディナータイムを刷新。「ヨル15℃」として生まれ変わった。その一品目が、なんと、鰯の寿司!?
つまんでみようとしてさらにびっくり。こ、この固さは!?
寿司米ではない、トーストなのである。下のサクッ、上のむにゅっ。ふたつの食感が面白い。タルティーンのような15℃ SUSHIは2貫で900円。鰯の酢加減もすばらしく、早速胃が刺激されてしまった。次の皿が待ち遠しい幕開け。
仕掛け人は、杉窪章匡氏。代々木八幡を代表する人気店「365日」、そして「15℃」のオーナーであり、カリスマ的ブーランジェである。したり顔で彼は言った。「これが、ヨル15℃の顔になるメニューです」
「僕が食べたいものを具現化できるシェフを獲得したんです」と、紹介されたのが、加藤龍一氏。神戸の名店(後に大阪に移転)「ルイ・ブラン」で経験を積んだあとはイタリアやフランスに飛び、武者修業。カリフォルニアのナパでは、ワインに合わせる料理のコンクールで優勝もしたという、キラリと光るものをもつ若手シェフだ。
コンセプトは新アメリカ料理。オーガニックや有機素材を使うという根本はそのままに、米国カリフォルニア辺りのエッセンスを加えた料理をアラカルトで提供するという。
3月まで提供されるオイスターも自慢だ。生のほか香草バター焼きがあるというので、後者をいただく。この日は三陸のもの。このあとは的矢も登場するそう。それはまた楽しみだな。
さて、次は何にしよう。そそられるものがメニューにずらり。迷いながら選んだのが、山羊チーズクレソンほうれん草サラダ(1,300円)。オーブンでトーストした山羊のチーズがなんともミルキー。
スープで気になったのが、ニューイングランド風クラムチャウダー。サンフランシスコでお馴染のブレッドボウルに入ったアレだ。ブレッドは、ソンプルサンを深めに焼いたものを使用。
ストウブ鍋で運ばれてきたのは、大分秘湯のオムレツ(1,000円)。「僕、火を通した卵の匂いが苦手なんですよ。この卵はしないでしょ」と杉窪氏。大分産の有機卵を使用しているとのこと。フワフワの半熟ではなく、しっかりと火が通ったスパニッシュオムレツ風。バターとチーズがたっぷり。うまいなあ。
2017.12.26(火)
文・撮影=Keiko Spice