風景も素晴らしいワイナリーで
気軽にテイスティング

ワイナリーの入り口からの風景は、まさにワイン生産地にいることを実感させます。

 ビールの国民一人あたりの消費量が世界一を誇るチェコ。ビールのイメージが圧倒的に強いのですが、実は国内でのワイン生産も盛んで、スーパーマーケットのお酒コーナーやワインショップでは国産ワインを多数取り扱っています。チェコワインは、恵まれた土壌や気候により品質も良く、各国のワイン品評会で高く評価されていることでも、その美味しさは証明されています。

 では、なぜ世界でチェコワインというブランドがあまり知られていないのでしょうか?

 答えは簡単、国の面積が日本の北海道よりも小さいチェコ。国内での年間ワイン消費量の4分の1ほどしか、チェコのワインメーカーは生産できません。つまり、海外に輸出される前に、ほとんどがチェコで消費されてしまうのです。

 ワイン生産地は、ボヘミア地方の一部とモラヴィア地方が中心。比較的平地で行われるビール用の麦やホップの栽培に比べ、ぶどうの栽培は丘陵地で展開されています。

チェコ国内のワイン生産地モラヴィア地方の地図。隣国オーストリア、スロヴァキアとの国境沿いの地方で、チェコワインの聖地ともいうべき場所です。

 知られざるチェコワイン、この機会にチェコのワインメーカーを2軒ほどご紹介したいと思います。

 1軒目はモラヴィア地方の「ソンベルク(SONBERK)」というワインメーカーです。その名も「太陽の丘」という、ぶどうの生育に欠かせない気候条件が整ったワイン生産地です。チェコ第2の都市ブルノを40キロほど南下したあたりで、近くには大きな貯水池があり、ヨットなどのウォータースポーツの盛んな場所でもあります。

モダンな建築のワインメーカー「ソンベルク」。設計はチェコの建築家ヨゼフ・プレスコット(Josef Pleskot)氏が手がけた。

 ワイナリーの入り口からは美しいモラヴィアの景色を望めます。40ヘクタールの面積を誇るぶどう畑は、チェコでは比較的規模が大きく、しかも、良いぶどう作りに適した太陽と土、そのほかさまざまな好条件が揃っています。

「ソンベルク」のぶどう畑。収穫はすべて手作業で行うため、1本の木から収穫できるぶどうは、わずか1.5キロほど。

 ワインテイスティングは、リストにある白・赤のうち、それぞれ50ccで25~35チェココルナ(約125~175円/2017年現在)というお手軽さ。好きなぶどう品種のみのテイスティングもOKで、気に入ればそこでグラスワインも頼めます。

左:2017年のワインテイスティングリスト。ボトル1本 195チェココルナからとリーズナブルなお値段。
右:ワイナリー内のワインストック。おみやげにいかが?

 ソンベルクで収穫されるぶどうは、リースリング、カベルネ・ソーヴィニヨン、ゲヴュルツトラミネールなどの有名品種から、モラヴィアン・ミュスカ、パラヴァのようなチェコならではの品種まで多彩。ちなみに「ソンベルク メルロー 2008」はソムリエの田崎真也氏も、その高い品質に太鼓判を押したワインとして知られています。

SONBERK(ソンベルク)
所在地 Sonberk 393,691 27 Popice
電話番号 777-630-434
http://www.sonberk.cz/en/

 2軒目は、ソンベルクのすぐ隣にある「ゴットベルグ(GOTBERG)」というワインメーカーです。56ヘクタールのぶどう畑を保有し、品質にたいへんなこだわりをもつ生産者のひとつです。

「ゴットベルグ」の入り口からの風景も、見渡す限りのぶどう畑。

 現代的な建物で作られたこちらのワイナリーでも、もちろんワインテイスティングができるのですが、地下の階段をおりるとハイセンスなワインセラーもあり、一般の見学も可能となっています。

ゴットベルグの地下にあるワインセラー。

 ワイナリー内には過去に獲得した数々の賞がところ狭しと並べられています。敷地内には広大なモラヴィア地方の風景を楽しみながらワインを飲めるテラス席も用意されていますので、のんびりゆっくり、心ゆくまでチェコワインと、それを生み出すチェコの風景を堪能できる場所です。

「ゴットベルグ」がこれまでに獲得した、栄誉ある賞の数々。

 モラヴィア地方にはほかにも規模の小さなワインメーカーが数多くあり、秋には「ブルチャーク」と呼ばれるワインの発酵段階のお酒も楽しめたり、各地でぶどう収穫祭も開かれるのでおすすめのシーズンです。

GOTBERG(ゴットベルグ)
所在地 U Sadu 394,691 27 Popice
電話番号 530-330-132
http://www.gotberg.cz/

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文・撮影=クレメントゆみ子