ムーンケーキ、
いやムーンアイス?

 番外編で、アイスクリームで作ったムーンケーキもあります。もはや別ものの感もありますが、これらもまたマレーシアの中秋節を盛り上げています。

ハーゲンダッツの限定ムーンケーキ。チョコでコーティングされたアイスで、なかには嬉しい仕掛けがある。
中を割ると……満月に見たてたマンゴー味のアイスが! 1個500円ほどと高級だが、その価値はある。
ゴディバでも、ムーンケーキにちなんだチョコレートを販売。形がそれっぽければ、もうなんでもあり。

 ちなみに、ムーンケーキの平均的なサイズは、直径10センチ、厚さ4センチぐらい。餡がぎっしり詰まっていて、かなりボリュームがあるので、マレーシアでは、6~8等分に放射状に切りわけて、すこしずつ食べるのがならわしです。1個を大人数でシェアすることも多く、みんなで食べる伝統菓子なのです。

価格は1個で15~30リンギット(約400~800円)。この時期、華人系や華人系と交流のある会社では、取引先から贈られたムーンケーキがお昼のおやつに配られる。(写真提供:ジェニファーさん)

 家族や仲間とともにムーンケーキを食べることで、今年も中秋節をぶじに迎えられたねとよろこび、きずなを深める季節。そして来年もまた一緒に食べられますように。そんな人々の願いが、ムーンケーキにはこめられています。

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://www.malaysiafoodnet.com/

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2017.10.18(水)
文・撮影=古川 音(マレーシアごはんの会)