Magnificent View #1330
知床(北海道)

(C)Jochen Schlenker / Masterfile / amanaimages

 オホーツク海に、長さ70キロにわたって突き出る知床半島。海と川と森が一体となった生態系が育まれるこの地は、誰もが知る世界遺産だ。

 知床という名は、アイヌ語で「地の果て」や「突き出たところ」をさす「シリエトク」が由来だ。その名の通り、厳しい気候と人を寄せ付けない地理条件があったからこそ、世界的に希少な動物が生息し、北方系と南方系の動植物が共存する豊かな自然が守られてきたといえるだろう。

 だが、この豊かな自然も、一度は乱開発の危機に瀕したことがある。そのことを嘆いた地元の斜里町が1977年に農業開拓跡地の買い取りに必要な寄付を募ったところ、多くの賛同を得て、全国から多額の寄付金が集まるように。「しれとこ100平方メートル運動」と呼ばれるこのナショナルトラスト運動は成功し、2010年に全ての土地を買収できたという。

 ところで、一口に知床といっても、半島の西側のウトロと東側の羅臼では、雰囲気は大きく異なる。ウトロは知床五湖などの景勝地や温泉街が多く、羅臼は海岸沿いに昆布番屋が並ぶのどかな風景で知られている。どちらも、知床旅情に満ちた魅力的な場所。ウトロ側の夕陽、羅臼側の朝日は一度は見ておきたい絶景だ。

Column

今日の絶景

この広い地球上には、まだまだ知られざる素晴らしい景色がある。思わず息を飲んでしまう雄大な自然、ミステリーにあふれた驚きの奇観、そして、人間の文明が刻んだ偉大な足跡……。ここに、選りすぐりの絶景をお届けします。さあ、ヴァーチャルな世界旅行へと出かけよう!

2017.09.28(木)
文=芹澤和美