チンチン電車と呼ばれ、親しまれている阪堺電軌上町線。姫松駅から線路沿いを天王寺方向へ150メートル程歩いたところに、小さなパン屋さんがあります。その名も「オーガニックパン工房それいゆ」。
木造の建物を改造した店に一歩入ると、こんがり香ばしいパンの香りが漂っています。左手には、煉瓦を積んだ迫力の石窯と麦を挽く石臼。右手は、吹き抜けにした壁面の棚に、パンがずらり。
右:オーナーの藤坂允さん、直穂さん夫妻。
右:店内の石臼で麦を挽いています。
オーガニックの麦を石臼で挽いた全粒粉を、自家製の天然酵母で発酵させて石窯で焼いている、こだわりのパン屋さん。他の粉も材料も、店内の冷蔵庫に並んでいる飲み物も、オーガニックです。オープンは2011年11月11日。
「石窯は、京都・石窯研究所の竹下晃朗さんの設計。3日間かけて組み立てました」と、ご主人・藤坂允さん。大学生の頃から飲食店でアルバイトをし、いずれはカフェをしたいと思っていたのだそう。
「家で天然酵母のパンを焼くようになって、パン屋がいいなと(笑)」。パンの大手チェーン店数軒で基本の技術を習得。病気の母親が自然療法で元気になった経験から、食や材料へのこだわりを強めます。
右:焼きたての食パン。
「オーガニックの材料を使うけれど、普通のパン屋さんっぽくやろうと決めたんです」と、マクロビオティックを学び、同じくパンのチェーン店で腕を磨いた妻の直穂さん。ハード系あり、食パンあり。お総菜系や甘いパンまで揃う、一見、最近よくある可愛いパン屋さん。でも、実はオーガニックで、自家製粉や窯にまで、おおいにこだわっているのです。
「チーズはオーガニックのものがないので、無添加のものです。生地には卵や乳製品を使っていません。アレルギーの方にも食べていただきたいから。自分達が食べたくないものは、作りたくありませんしね」。
2017.08.13(日)
文・撮影=そおだよおこ