フランス王室に嫁いだメディチ家の娘は、フィレンツェの美食で宮廷中を虜にしたという。その極意を今に継ぐ名店を訪ねよう。
イタリアの美味が集う
食のコンプレックス
◆Cucina Torcicoda
(クチーナ・トルチコーダ)
右:牛フィレのグリル。季節によりトリュフを添えることも。希少なキアーナ牛が入荷していれば幸運。オーダー時に確認を。25ユーロ~。
サンタ・クローチェ広場の近くで大型総合店を経営するステファーノ・ペルッツィさんは、無類の料理好き。その思いが高じて2013年、ついに待望の「クチーナ・トルチコーダ」をオープンさせた。
開業準備に3年をかけた店は、ピッツェリアとジェラテリア、オステリア、レストランで構成されたユニークな複合施設。一般的なフードコートとは一線を画し、それぞれが空間を共有しつつ、独立したスタイルを保っている。
右:ワインはリストの8割を地元の赤が占める。
家業となったレストラン経営に携わるペルッツィ家長男によれば「今までフィレンツェにはなかったダイナミックな店を目指しました。ここでは一店舗の中に多様な店が集まり、訪れるたびに違った楽しみ方ができる。しかもインテリアや味は本格的。地元の食通にはリピーターも多いですよ」。
オステリアはトスカーナの伝統料理、レストランでは新地中海料理とメニューは分かれるが、どちらも熟成肉のグリルが名物。こだわり抜いた熟成肉は、ひと口ごとに凝縮された旨味がほとばしる。この一皿にステファーノさんの熱い思いが込められているのだ。
右:買い物には絶好のロケーションにある。
Cucina Torcicoda
(クチーナ・トルチコーダ)
所在地 Via Torta 5R, Firenze
電話番号 055-2654329
営業時間 レストラン 19:00~23:00、オステリア 12:00~15:00/19:00~23:00
定休日 無休
http://www.cucinatorcicoda.com/
撮影=小野祐次
取材・文=上保雅美
コーディネイト=大平美智子