海抜2240メートルの高原盆地に位置する、メキシコの首都メキシコシティ。人口約2000万人というこの巨大都市から北へ向かう旅で出合うのは、カラフルな街並みや民芸品、ワインにメキシカングルメ……。歴史と現代が融合するメキシコ中央高原への旅は、発見と感動に満ちていた。

カラフルでキュートな街
サン・ミゲル・デ・アジェンデの歩き方

芸術の街としても知られるサン・ミゲル・デ・アジェンデ。

 メキシコ中央高原北部にある、標高約1900メートルの洗練された都市、サン・ミゲル・デ・アジェンデの朝は美しい。ヨーロッパの田舎町を思わせる暖色系のレンガ家が、太陽光を受けて煌めく朝靄に包まれ、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだかのような幻想的な雰囲気を醸し出す。

石畳のなだらかな坂道が続く通り道。区画整備されたクリーンな街並みは治安も良く、朝夕に散歩を楽しむにはもってこいだ。
通りの至るところで目にする井戸の跡。かつては、市民がここから生活用水を調達していたという。

 まだ人気の少ない朝、街の中心部を目指して歩いていると、ピンク色の愛らしい教会が目の前に現れる。サン・ミゲル・デ・アジェンデのシンボルである「パロキア教会」だ。

スペインの建築物を思わせるパロキア教会。実際、建設当時スペインから届いた絵葉書をもとにデザインされたという。
「サン・ミゲル・デ・アジェンデ」の名前の由来になった、独立戦争の英雄、イグナシオ・アジェンデが街を見守る。

 近年、欧米人の移住先として人気が高く、外国人旅行者も増加していることから、おしゃれなショップやカフェが続々と誕生し、モダンに進化しているサン・ミゲル・デ・アジェンデ。新旧のカルチャーが程よく融合されたハイセンスなコロニアル都市の魅力を、五感で満喫してみたい。

2017.07.22(土)
文・撮影=中山理佐