カジノや世界遺産の街というイメージが強いマカオですが、その最も南にある離島「コロアン島」には、豊かな自然が残っています。離島といっても陸路でアクセスすることができ、タクシーを使えばマカオ半島の市街地中心部から約30分、大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶコタイ地区からは約10分と、たいへん近くて便利なところです。

マカオにもパンダがいる!

双子の赤ちゃんパンダ、兄の「健健」(左)と弟の「康康」(右)。

 今、コロアン島で最も注目を集めている観光スポットのひとつが、島の北部に位置する石排灣郊野公園の中にある「マカオ・ジャイアントパンダ・パビリオン」。その名の通り、ジャイアントパンダ専門の飼育・展示施設です。

 「えっ、マカオにもパンダがいるの?」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。なんと、4頭もいるんです! 中華圏では各3頭ずつがいる香港、台湾を上回り、中国本土と日本に次ぐ数となります(2017年6月現在)。

エサを食べる健健。

 マカオ・ジャイアントパンダ・パビリオンがオープンしたのは2011年1月のことなので、それほど目新しいわけではありません。では、なぜ最近になって注目を集めているのかというと、昨年(2016年)6月26日に生まれたばかりの双子の赤ちゃんパンダの一般公開が、今年1月末にスタートしたからです。

 双子の赤ちゃんパンダはいずれもオスで、健康に育つようにと「健健」「康康」と名付けられました。マカオで生まれた初めての二世とあって、地元では大の人気者となっています。ちなみに、兄の「健健」はいたずらっ子、弟の「康康」は愛嬌を振りまくタイプで、いずれも好奇心旺盛。

木によじ登る康康。

 よく似た2頭なので、なかなか見分けがつきにくいですが、最もわかりやすいのが「耳」で、よりミッキーマウス型なのが康康です。広い展示施設の中を走り回ったり、木登りを披露したり、兄弟でじゃれ合うなど、様々な愛らしい姿で訪問客を楽しませてくれます。

双子の赤ちゃんを含めて4頭に会える

 2017年6月現在、赤ちゃんパンダの一般公開は、毎週日曜日の午後2時30分から4時30分までの間に限定されています。マカオ・ジャイアントパンダ・パビリオンを管轄するマカオ政府民政総署(IACM)によれば、今後、様子を見ながら、一般公開の時間を延ばしていきたい意向とのことで、2頭に出会えるチャンスが増える見通しです。

心心と双子の赤ちゃんパンダ。(C)IACM

 常時公開されているのが、赤ちゃんパンダの両親にあたるオスの「開開」、メスの「心心」。いずれも2015年4月に中国・四川省のパンダ保護研究センターからやってきました。中国語で「ハッピー」を意味する「開心」が名前の由来です。なお、「心心」は授乳など子育ての都合で、公開されない場合もあります。

 動物園のパンダといえば、大人しい姿をイメージされる方もいらっしゃるかと思いますが、私が何度か訪問した経験上、マカオにいる4頭はサービス精神が旺盛なのか、とにかくよく動きますし、鳴き声を聞ける機会もありました。

 運よく午後の餌やりの時間に訪れたなら、バリバリと大きな音を立てて豪快に笹を食べる、ワイルドな一面を見ることもできますよ。

開開。(C)IACM

文・撮影=勝部悠人(マカオ新聞)