世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。

 第150回は、芹澤和美さんがコーヒー天国・天草を旅します!

香ばしさに誘われる
とっておきのカフェ

コーヒーの香りに誘われて人が集い、自然に繋がってゆく。そんな居心地のいいカフェが多い天草。「COFFEEFRESH.JP」にて。

 「天草でおいしいコーヒーが飲みたいな」。寒くなって熱いコーヒーがますます恋しいこの頃、思い立って、1泊2日の天草の旅へと出た。

 「天草の食文化といえば新鮮な地魚」という印象が強いけれど、実は知られざるコーヒー天国でもある。個性的な自家焙煎のカフェがいたるところにあって、コーヒーを飲むことがとにかく楽しい場所なのだ。

沖縄でDJをしていた平井さんが天草に戻り、2008年に開いたカフェ。今は街のコーヒー好きが集うスポットに。

 羽田を早朝に出発すれば、朝9時45分にはもう天草に到着する。まずは、教会に見守られるように漁村が息づく﨑津集落を散策。ノスタルジックな雰囲気に包まれるここは、広い天草の中でも一番好きな場所だ。その後、さっそくカフェホッピング。

 住宅街の中にある「COFFEEFRESH.JP」は、天草の海のように鮮やかなブルーがインパクトある焙煎ショップ。DJでもあるオーナーの平井憲一さんセレクトの音楽が流れる店内は、ちょっとした非日常空間だ。それでいて居心地がいいのは、薫り高いコーヒーに癒されるからなのかも。

豆の種類は有機栽培のモカひとすじ。平井さん自身も、カフェ文化が広がる天草を楽しんでいる様子。

 ここで飲めるコーヒーは、天草産の樫木炭と特注の鉄板を使い、手網で遠赤焙煎したモカ。さっそく平井さんに挽き立てのコーヒーを淹れてもらった。早朝に羽田を出発してちょっと疲れていた身体に、じんわりとほろ苦さが染み渡る。

左:無農薬ですっきりとした味わいのオリジナルブレンド。
右:天草で育つハーブ、長寿草と「COFFEEFRESH.JP」の豆をブレンドした「天草薬草珈琲」は、コーヒーのようにドリップして飲むヘルシーなドリンク。

 「コーヒーは、ただの豆と水。シンプルだからこそ、いいものを使いたい」と、平井さん。有機栽培の豆を、天草の天然水で淹れたコーヒーは、まさにフレッシュで凜とした味だ。

COFFEEFRESH.JP
所在地 熊本県天草郡苓北町志岐164-4
電話番号 090-3795-0469
営業時間 10:00~17:00
定休日 水・日曜
http://www.coffeefresh.jp/

天草の中心部、本渡にある「FLAT TRACK」。古民家を改装した店内は、1階がカフェ、2階がセレクトショップ。

 カフェでもあり情報発信地ともなっているのが、中心地にある「FLAT TRACK」。仕事でロンドンやニューヨークを飛び回り、「やっぱり天草がいい!」とここに拠点を置いたオーナーの松本竜治さんは、さまざまなイベントの仕掛け人。かつて造り酒屋だった古い建物を改装した店は、音楽や文化を発信する人々が集うスポットにもなっている。

左:薪ストーブと木の温もりにほっこり。
右:2階はセレクトショップ。オリジナルのTシャツやニットは、天草旅行のユニークなお土産になりそう。

 木の香りと暖炉の温もりが心地いいカフェで飲むのは、自家焙煎のブレンドコーヒー。天草で上映されるスペシャルな映画や音楽イベントの情報も入手できるここは、くつろげるだけでなく、ワクワクさせてくれる場所でもある。

FLAT TRACK
所在地 熊本県天草市中央新町18-22
電話番号 0969-22-6422
営業時間 9:00~18:00
定休日 水曜

2017.02.07(火)
文・撮影=芹澤和美