冬の京都の魅力を満喫してから、近郊の温泉地を訪れる「京都経由、温泉行き」の旅スタイル。第1回は、外湯文化が残る風情ある温泉街「城崎温泉」をご案内。

 志賀直哉を筆頭に古より多くの作家を魅了、万城目学、湊かなえなど現代作家にも愛される文化の薫り高いこちらは、歴史ある京都を散策してから行くのにふさわしい。まずは、大人の女性にぴったりな宿と、そこを訪れる前に京都を満喫するための「ショップ」「ごはん」「おやつ」3つのおすすめスポットをご紹介します。

 いざ、“京都経由、城崎温泉”の旅へ――。

vol.01 西村屋ホテル招月庭 (城崎温泉/兵庫県)

温泉の風情とリゾートライフ
どちらも楽しめる、プレミアムな宿

 京都から電車で約3時間。兵庫県随一の名湯地・城崎温泉にて創業150年の老舗旅館「西村屋」が、大人の女性にむけて新しく設えたのが「西村屋ホテル招月庭」。こちらの最大の魅力は、プライベートな空間で温泉露天風呂とスパを楽しめる「森のプライベートスパ」。

プライベートスパは、檜の香りが漂うジャパニーズ「吟月」(写真上)、バリ風のインテリアが異国情緒を誘うバリニーズ「FU-RO」、100年前の古レンガが壁一面に積み上げられたチャイニーズ「林泉」の3種類。どれも目の前に広がる大自然との一体感が醍醐味。気兼ねなくくつろぎを独占して。
バリニーズ「FU-RO」にある岩盤浴。大きいガラスが開放感を誘う。冬は、西村屋が誇る5万坪の大庭園も雪景色に。夜になるとそれがライトアップされ幻想的。

 和、バリニーズ、チャイニーズと趣の異なる3タイプがあり、それぞれ完全個室で人目を気にせずのびのびとくつろげる。入浴後は、バリ様式のリラクゼーションサロン「風香(ふうか)」のアロマオイルのマッサージで癒しのひとときを。

トリートメントは、リフレクソロジーとアロマトリートメントの2種類。おすすめは、リンパの流れに沿って好みのオイルで全身をマッサージする「トータルアロマトリートメント」50分 9,074円。

 夜は、城崎の冬の旬とワインを堪能したい。レストラン「Ricca」では但馬牛熟成肉と海の恵み、地元農家のこだわり野菜など、但馬の旬の味覚をもちいたコース料理を味わえる。

建築および内装のデザインは、「強羅花壇」「べにや無何有」などで知られる、竹山聖が担当。窓から見渡させる風景、ゆったりした空間作りなど、日本の伝統的な美意識“余白を活かす”ことを大事に設計したという。可能な限り但馬産の食材を使いシンプルに仕上げた料理を、上質なカリフォルニアワインが引き立てる。料理写真は「但馬牛熟成肉のステーキ」と「ズワイガニのヴァプール」。かにと但馬牛熟成肉を一度に味わえる「かにと但馬牛熟成肉スタンダードコース」10,000円より。

 なかでも但馬牛の熟成牛は、熟成肉の専門店「中勢似」が監修。プロフェッショナルな熟成技で良質な脂がさらにバランスよくなり、牛肉が本来もっている香りが引き出される。ぜひ、賞味すべし。ワインはカリフォルニアワインのスペシャリスト、マイケル・クー氏が厳選。日本海や但馬の幸の味わいに寄り添う上質なラインナップが揃う。

部屋は全部で6タイプ。
上:緑豊かな自然に面した和室「庭の棟」から望む雪景色。
下:露天風呂付客室。

西村屋ホテル招月庭
所在地 兵庫県豊岡市城崎町湯島1016-2
電話番号 0796-32-3535
http://www.nishimuraya.ne.jp/shogetsu/
※2017年3月27日~7月末の期間、リニューアル工事に伴い休館予定。

Ricca
電話番号 0796-32-3535
営業時間 ランチ 11:30~14:30(L.O. 13:30)、ディナー 18:00~22:00 (L.O. 19:30)
※ディナーは予約制(当日10時まで)

リラクゼーションサロン「風香」
営業時間 15:00~23:00

【CREA WEB限定プラン】2017年3月26日(日)までの宿泊限定!
「西村屋ホテル招月庭」に宿泊の上(2名1室、1泊2食付き、1名 27,000円~)、宿泊当日か翌日にレストラン「Ricca」の「但馬牛熟成肉プレミアムランチ」(1名分 4,600円)を人数分利用した方に、「森のプライベートスパ」1回分(通常4名様まで70分 8,000円)へ無料でご招待。予約の際に「CREA WEBを見て」とお伝えください。
※「森のプライベートスパ」は事前予約制につき、満室の場合はご了承ください。
※料金はすべて税別です。

城崎温泉の魅力

近隣の宿には浴衣が用意されており、着付けを行っているところも。7つの外湯を浴衣で巡ることができ、冬の雪風景も趣があり美しい。

 浴衣での外湯巡りなど、温泉街ならではの風情を楽しめるのが城崎温泉の最大の魅力。志賀直哉の名作『城の崎にて』を生んだこの土地は、時を経た今も多くの作家に愛されている。

 2013年の志賀直哉来湯100年を機に、城崎温泉旅館経営研究会が出版レーベル「本と温泉」を立ち上げ、城崎温泉のファンだという万城目学の書き下ろし作品『城崎裁判』を発表、翌々年には同じく城崎温泉に親しんでいた湊かなえが『城崎へかえる』を城崎限定で出版するなど、ユニークな活動でも注目を浴びる。

 温泉をほっこり楽しみながら文化の薫りにふれ、風情ある温泉街をそぞろ歩き。そんな感性を刺激する温泉地は京都に立ち寄った後の旅先にふさわしい。

●城崎温泉までのアクセス
JR利用の場合、大阪駅から約2時間40分、京都駅から約2時間30分

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2017.01.14(土)
撮影(p2、3、4)=伊藤 信
文=吉村セイラ