気になる世界の街角から

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優美なるマヨリカ焼きが5000枚以上!
一生に一度は行きたいプライベート美術館

めくるめくマヨリカ焼きの世界へ、ようこそ!

伝統陶器マヨリカ焼きの床タイルが埋め尽くす「スタンツェ・アル・ジェニオ」。オーナーの自宅アパルタメントのうち、約400平方メートル8部屋をプライベート美術館として一般開放する。

 パレルモのディープな旧市街にある知る人ぞ知るマヨリカ焼き美術館「スタンツェ・アル・ジェニオ」。マヨリカ焼き床タイルの世界的コレクターのオーナーが、自宅を一般開放したプライベート美術館で、館内には「あっ!」と驚くマヨリカ焼きの世界が広がっています。

マヨリカ焼き床タイルコレクター ピオ・メッリーナ氏。「陶器コレクションは世界中にありますが、イタリア製、つまりシチリアとナポリで生産された伝統床タイルに特化したコレクションは、世界でここだけでしょう。床タイルの魅力は、そのデザインの豊かさ。紀元前から続く南イタリアの長い歴史がミックスされ、表現されているのです」と語る。

 イタリアの伝統陶器として知られるマヨリカ焼き。その起源を遡るとシチリアに行きつきます。先史時代から焼き物が生産されていたシチリアの街々に、その技術が伝わったのが約1000年前。そこから独自の発展を遂げ、イタリア全土に広がっていったと言われています。

左:1500~1600年代にカルタジローネで生産された床タイルが飾る瀟洒なリバティ様式の部屋。天井画は、マッシモ劇場の内装を手がけた画家エットレ・デ・マリア・ベルグレール。ランプ、ソファなど家族所有の当時のものを配置。
右:1500~1600年頃のパレルモで生産された床タイルを展示したダイニングルーム。
1800年代のサント・ステファノ・ディ・カマストラ産タイル。1700年代の天井画の部屋に、お祖母さまから譲り受けたアールデコのソファを置いて。

 15世紀頃から、本場シチリアやナポリでは床を飾るタイルとして多用されてきたマヨリカ焼き。スタンツェ・アル・ジェニオでは、15~19世紀の貴族の館や教会で実際に使用されていたオリジナルのみを展示していますが、その数なんと約5000枚! 思わず「壁は大丈夫か!?」と心配になるほどの枚数が四方を埋め尽くしまくっています。

 オーナーのピオ氏は、代々絵画や骨董などをコレクションするコレクター・ファミリーのご出身で、床タイルのめくるめく色彩とデザインの美しさに惹かれて収集を始めたのは、12歳の頃だそう。中学生が床タイルを集める姿はなかなか想像が難しいところですが、これもDNAのなせるわざでしょうか。伝統的かつ西洋的なコレクション手法に則り、正規ルートから(つまり盗品やレプリカではない)、入手した鑑定品のみ集め、各タイルの経歴(出自)をすべて記録しているとのこと。

 緻密! いや、これが生粋のコレクターというものなのでしょう。

ナチュラルなアースカラーでモダンなデザインを描いた、ブルジョ産の1700~1800年代の床タイル。貴重なコレクションだ。

 カルタジローネ、パレルモ、ブルジョ、サント・ステファノ・ディ・カマストラ、そしてナポリ。かつて世界を支配したスペイン王国時代のマヨリカ焼き名産地で生産された床タイルの芸術性は高く、華やかな色遣いはもちろん、秀逸なデザインに目が奪われます。職人の息遣いさえ聞こえてきそうな筆致が顕著に残る作品には、どれ一つとして同じものが見当たりません。

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2016.05.18(水)

文・撮影=岩田デノーラ砂和子

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