今日の絶景

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「東洋の魔窟」と呼ばれた九龍城砦は
すべて解体され公園に生まれ変わった

Magnificent View #883
九龍寨城公園(香港)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 「東洋の魔窟」「一度入れば二度と出られない迷宮」などと語られていた九龍城砦。もとは宋の時代に造られた軍事要塞だが、1940年代の中国内戦による難民が跡地に続々と押し寄せたことから、長い間、巨大なスラム街と化していた。

 香港もイギリスも行政権がおよばない無法地帯だった一帯には、無計画に建設された建物が折り重なるように立ち、迷路のような中に多くの人が暮らす様は、都市伝説でさえあった。

 1994年、すべての建物が解体され、跡地を含む周辺一帯に誕生したのが、この公園だ。園内で見かけるのは、芝生で寝転ぶ人やサイクリングする人、散策を楽しむ家族連れ。かつてのカオスを想像できるものはいっさいなく、のどかな憩いの場となっている。

 九龍城砦があった当時はすぐ側に空港があり、離着陸する飛行機が建物のすぐ上を飛んでいくのも、香港の名物だった。だが、そんな風景も今は昔。空港も移転し、当時の喧騒が嘘のように、ここには穏やかで静かな時間が流れている。

2016.03.01(火)

文=芹澤和美

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