6種類の本場の生ハムを食べ比べ!

 スペインの生ハムは、まずは白豚を使ったいちばん低価格のもの(いわゆるハモン・セラーノ)と黒豚の一種であるイベリコ豚を使ったハモン・イベリコとに大きく分けられる。そのハモン・イベリコのなかでも、特に認可を受け、放し飼いでどんぐり(スペイン語でベヨータ )を餌の主体として育った豚を使い、最低3年以上熟成させたものだけが、生ハムの最高級カテゴリーであるハモン・イベリコ・デ・ベヨータとなるわけだ。

 スペインで生産される生ハム全体のなかで、わずか2%にしか満たないこのハモン・イベリコ・デ・ベヨータには、ワインなどと同様に原産地呼称制度が適用され、ウエルバ、ロス・ペドロチェス、ギフエロ、それにエクストレマドゥーラ、この4地域が認定されている……などなど、ミュージアムを出る頃にはいっぱしの生ハム通になっていること請け合いである。

展示を見終わって、お楽しみのテイスティング。6種類の生ハムをその場でカッティングしてくれる。飲み物は、ワイン(赤・白)、カバ、ビールからお好みをチョイス。アルコールが苦手な方には、ミネラルウォーターが用意されている。

 しかも最後には、生ハムのテイスティングもついており、ハモン・セラーノ、ハモン・イベリコ、そして前述の4地域それぞれのハモン・イベリコ・デ・ベヨータ、計6種類の生ハムの違いを実際に味わって確かめられるのだ。ハムと一緒にワインやカバ(発泡酒)もサービスされ、言うことなしである。

1階ショップ横のバル・カウンター。生ハムのバゲット・サンドやハムや腸詰の盛り合わせなどが手ごろな値段で味わえる。

 それでも食べたりない方、もしくは知識が増えた分もっと食べ比べたくなった方は、バルスペースへどうぞ。特に2階のバル・レストランは、ランブラス通りに面したカウンターがあり、通りを行き交う人々を眺めながら生ハムを中心にしたメニューを楽しめるのでお勧めである。ホテルへ持ち帰ってゆっくり、という方なら、ショップには各種生ハムがずらりと並んでいる。気さくなスタッフが声をかけてくれるので、好みの種類や、欲しい量など、気軽に相談してみよう。

 ただし、日本への生ハムの持ち込みは、たとえ真空パックであっても禁止されているので、くれぐれもご注意を。

JAMÓN EXPERIENCE(ハモン・エクスペリエンス)
所在地 Rambla de les Flors 88 - 94, 08002 Barcelona
アクセス 地下鉄3号線「Liceu」駅下車すぐ
電話番号 +34-93-002-8474
開館時間 11:30~20:00(ミュージアムへの入場は30分もしくは1時間おきで時間が指定されている。最終入場は19時)
閉館日 1/1、12/25、12/26
入場料 19ユーロ(ミュージアムの入場+生ハムテイスティング)。ショップやバルスペースへの入場はフリー。
URL http://www.jamonexperience.com/en/

坪田みゆき(つぼたみゆき)
バルセロナ在住、コーディネイター。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)イスパニア語学科卒。在東京スペイン政府観光局勤務などを経て、2004年よりバルセロナ在住。バルセロナ、バレアレス諸島(マヨルカ島他)、バスク地方などを中心に、スペイン全土の取材・撮影コーディネイトの他、通訳・翻訳業務も行っている。http://spainbcn.exblog.jp/

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文・撮影=坪田みゆき