宮部みゆきのベストセラーを2部作で映画化した『ソロモンの偽証』で、校内裁判の被告人となる大出俊次役に抜擢された清水尋也。注目を浴びた『渇き。』でのイジメられっコ役から一転、鋭い眼光を持つ問題児を演じ切った彼が自身の演技の振り幅について語る。

俳優として尊敬する先輩である兄の存在

――清水さんの小さい頃の夢は何だったんでしょうか。

 兄の影響で、3歳から地元でサッカーを習っていたので、小さい頃の夢はサッカー選手でしたね。でも、小学校のクラブ活動にはサッカー部がなくて、バスケットボール部を選んだんです。興味本位で始めたものの、背が高かったこともあって、どんどんハマって、中学でもバスケを続けました。

――4歳上のお兄さんである清水尚弥さんも俳優ですが、俳優を目指したのも、やはりお兄さんの影響でしょうか。

 そうですね。家ではたまにウザいと思うこともある兄貴ですけれど、尊敬する先輩です。小6のとき、兄が主演した映画『からっぽ』の試写会で、事務所の方に改めてレッスンに来ないかと誘われるまで、5年間ぐらい兄の仕事を見ながらも、自分が娯楽としていつも見ているTVや映画に出る立場になることが、どこかイヤだったというか、できれば憧れの対象のままにしておきたいという気持ちが強かったんです。

――すぐにレッスンに行く決心はついたのですか。

 事務所の方が「レッスンに来なければ、家まで迎えに行く」とまで言ってくれていたので、恐る恐るレッスンに行ったのを覚えています。そこで、初めて恥ずかしがりながらも、台本を読んで演技をする未知の体験をしました。でも、とても楽しく充実した時間を送れたので、この先、成功するかどうか分からないけれど、この世界に足を踏み入れることを決心しました。

2015.04.17(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘