オヤジかるた 女子から贈る、飴と鞭。

瀧波ユカリ

「マウンティング女子」の名付け親としても話題の瀧波ユカリさんが、愛されオヤジになれる46のメソッドをかるた形式で綴った、「週刊文春」連載エッセイが単行本に! 女子が読めば「こんなおじさん、いるいる~」と笑えて、おじさんが読めば「モテの奥義」が身に付く……という本書から、3話をご紹介!

 オヤジの皆様、以下を読んで想像してください。若くてセックスの経験も乏しい女子が目の前にいます。あなたはどうにかして彼女を抱きたい。さて、どうやって口説きますか? ……私には、わかります。きっとあなたはこう言うのです。「大人の男とエッチしたことないの? すご〜くいいよ。やりたいだけの若い男なんて比べ物にならないくらい、僕はうまいよ。一度ためしてみようよ!」ですよね? ですよね!

 勝手に決めるなって? いえいえ、だって私、二十代の頃に耳にGスポットができるくらいこれを言われたんですよ。最初は「うまいかどうかはどうでもいいしな〜」と思って、聞き流していました。しかし、同年代の男子とそれなりに経験を重ね「セックスってこんなもんか?」と思い始めた頃に若めのオヤジ様から「僕はうまいよ」と口説かれて、まあ憎からず思っていた相手ということもあり、いっちょためしてみるか! というふうになったんですね。しかし正直なところ……どんな素晴らしい境地に私は達するのかしら? とワクワクして臨みましたが……私が得たものはオーガズムではなく「期待はずれ」という名の寂寞感でした。そんなことを数度繰り返し……私はやっと気が付いたのです。これは詭弁だと!

 おっと、次に来る言葉も私は既にわかっておりますよ。「それはね、君の体がまだ未熟だからだよ。大丈夫、僕にまかせて。時間をかけてじっくり開発してあげるからね!」……このように、オヤジ様のセックステクに疑問を呈したとしても、結局こちらの未熟さのせいにされた上「そんならあと二〜三回は試してみるか……」と思わされてしまうのです。本当に恐ろしい詭弁であります。今まさにこの瞬間も、日本のどこかでオヤジ様にだまされて、若い体が餌食になっているのであります!

 寂寞感の経験者として、私は言いたいのです。口説くならこの禁じ手を使わずにやってほしいと。「君が可愛いから、抱きたい」でいいじゃないですか。そのアピールを根気よく続ければ、詭弁など使わなくても抱けますよ。だって女子は、自分をあえて大きく見せない男の潔さに弱いのですから。なお、オヤジ様の中には本当にご自分のセックステクがすごいものだと思い込んでいる方もいらっしゃることでしょう。女性は不感症扱いされるのが怖いので、大したことないテクニックでも「いい!」と言ってしまう生き物ですから、そう思い込むのも無理はありません。しかしいずれにしても、この方法では体は抱けても心までは抱けません!

 あ、別に心までは抱きたくないからそう言うのですよね。大変失礼しました。私こそ、心まで抱きたいと思わせる魅力的な女性になるよう、日々精進致します!

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瀧波ユカリ 近況

最近あまり外に出ないので、オヤジに飢えています。しかし外に出ても好きなタイプのオヤジ様に会えるとは限りません。こないだは「初対面の人にわざとそっけなく接することで自分を大物に見せたがるオヤジ様」に遭遇してイラついてだいぶ生命力が削がれました。

プロフィール

1980年北海道札幌市生まれ。漫画家。日本大学藝術学部写真学科卒業。2004年『臨死!! 江古田ちゃん』でアフタヌーン四季賞大賞を受賞しデビュー。著書に漫画『臨死!! 江古田ちゃん 』(講談社)、エッセイ『はるまき日記』(文春文庫)、 『女もたけなわ』(幻冬舎文庫)、『オヤジかるた 女子から贈る、飴と鞭。』(文藝春秋)、『あさはかな夢みし』(講談社)など。

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