大衆食堂 vs 5ツ星ホテル

グリーンヒルにある、その名も「青山角(Green Hill Corner)」。店の中に屋台がある。大きな鍋は中央を仕切ってスープと麺を茹でる湯とに分ける工夫が。

 次の目的地は、同じボルネオ島にあるサラワク州のクチンという町。サラワク州といえば前述のサラワクラクサの本拠地だ。空き時間にラクサを食べたいと思っていたら、運良く大衆食堂へ行くことができた。飲食店が並ぶ一角、グリーンヒルにある人気店だ。

 この店の鍋はふたつに仕切られていて、右には茹で湯、左にはスープとなっていて、合理的。付け合わせはライムとサンバル(チリとスパイスのペースト)。ライムはれんげで押さえながら潰して、種を落とさないようにするのがコツだ。サラワクラクサの特徴は、さらりとした魚ベースのスープに、米粉で作った細い麺を使っていること。酸味があることで暑い夜でも爽やかにいただくことができる。

フリルのような縁がかわいい器に入ったサラワクラクサ。麺はビーフンを使っている。辛みや酸味を足したいときには、添えられたサンバルとライムで調整を。

 その後は時間が取れず、またもチャンスは最終日の朝ということに。空港に向かう途中に、町で一番人気のあるラクサの店に立ち寄ってもらうことになった。美味しい物のためならばと起きたのは、夜明け前の5時。窓から見下ろすサラワク川も漆黒の闇の中。送迎の約束は2時間後。なぜそんなに早く起きたかというと、ラクサの前に、滞在中の「ヒルトン・クチン・ホテル」の豪華朝食ビュッフェを少しだけつまもうと思ったのだ。

左:3種類の麺と具材。好きなだけ取って、奥の湯の中のザルに投入する。サラワクラクサは、手前の細いビーフンが一般的。窓の外は真っ暗(笑)。
右:こちらがスープ。「サラワクラクサ」と書かれた赤いスープと、「ミー・スープ(麺のスープ)」と書かれた透明なスープの2種が用意されていた。

 野菜とフルーツとヨーグルト。そして、ちょっとだけ主食を、と思ってレストランへ。いえ、ほんとにそれだけと……。が、ラクサを発見! しかも、麺も具も自分で選べるスタイル。ラクサを食べに行くのに、その前にラクサを食べるという暴挙(笑)。だって、どのラクサも少しずつ味が違うのだから、やっぱり食べてみたいというもの。ヒルトン・クチンのラクサはグリーンヒルコーナーで食べたラクサよりもココナツミルクが効いていて私好みの味。う~ん、おいしい!

この日、最初の朝食となったサラワクラクサ。急いで運んだので器にスープの跡がついてしまったのはご愛嬌ということで。

 そして急いで部屋にスーツケースを取りに戻ってチェックアウト。次のラクサへ!

2014.05.06(火)
文・撮影=たかせ藍沙