Wキャスト、それぞれの持ち味を見てほしい

――同じ舞台というジャンルでも、ストレートプレイとミュージカルとは大きく違います。実際に本格的にミュージカルの舞台に立つことで、心境の変化はありましたか?

 正直なところ、最初はミュージカルにどこか偏見を持っていたんですよ。でも、ボカロじゃないですけれど、喰わず嫌いはいけないんですよね。そこで生きる人たちの素晴らしさだったり、そこでしかない世界観が見えてきたんです。去年上演されたミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(以下、「ロミジュリ」)のオーディションを受けようと思ったのも、そもそも一昨年のミュージカル「コーヒープリンス1号店」で共演した(山崎)育三郎くんの存在が大きかったです。同年代でこんな素晴らしい歌を歌える人がいるんだと思いましたし、とにかく表現者として素晴らしかった。でも、もう一回共演したいと思って、彼が初演に出演していた「ロミジュリ」のオーディションを受けたら、彼は出ないらしいとわかって……。彼を驚かせようと思って、ずっと内緒にしていたので、「?」でしたよ(笑)。今回もWキャストなので、共演ではないですけど、また彼と一緒に仕事ができることはうれしいですし、運命的なものも感じますね。

――Wキャストというとライバル意識みたいなものを捉えがちですが、加藤さんの山崎さんに対する気持ちはリスペクトの方が強いということですね。

 (「ロミジュリ」でWキャストだった)城田(優)のときもそうだったんですが、比べられることは当たり前なんですよ。人それぞれだから、そういうことがあっていいと思うんですが、僕自身はこっちもいいけど、あっちもいいという、それぞれの持ち味を見てほしいと思うんです。同じ演出だからって、まったく同じ芝居になるわけがない。だから、できれば両方のロビン・ブレイクを見比べてほしいですね。

<次のページ> 「レディ・ベス」ではお客さんに“ひとときの幸せ”を与えたい

2014.03.21(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹
スタイリング=立山功