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#04 謝朋酒樓の「上湯スープと麻辣スープの鍋」

 最後は、横浜中華街にほど近い名ホテル「ホテルニューグランド」の副総支配人であり、中華料理をこよなく愛する谷口謙一郎さんがプライベートで食べている裏メニュー、四川料理のマニアック鍋をこっそり教えてくれました。

「知る人ぞ知る裏メニューの『上湯スープと麻辣スープの鍋』。具材はお店と事前に相談していただき、海鮮やら豚肉、野菜などお好みの食材を揃えることができます。

 四川系のお店ですので麻辣スープは絶品。ピリッとした中に旨みもしっかり感じるスープです」(谷口氏)

 具材を店のおまかせで頼んだ場合、牛肉や羊肉に有頭海老、牛センマイや魚団子、血豆腐などの中国らしい具材も。肉厚のしいたけやロメインレタスなど野菜もたっぷり。あっさりした上湯スープにレタスをくぐらせて、シャキシャキした食感とスープの旨みを楽しんでもいいし、花椒の効いたピリ辛濃厚麻辣スープで白菜をくったりするまで煮てもよし。

 とにかくスープの味がいいので、何も付けずにそのまま食べてもおいしいのですが、もし味変するならばと用意されているのがタレのセットです。

 胡麻ダレ、胡麻油、しょうが、にんにくを自分で組み合わせてタレを自作。羊は胡麻ダレが合うね、この組み合わせもいける!など更に会話も弾みます。豆板醤と小葱はそのつどお好みでプラスして、さらなる味変を加えれば、肉も野菜もいくらでも食べられてしまいそう。

 この鍋は、常連客から「鍋が食べたい」という声が多く、それに応えて生まれた裏メニュー。舌の肥えたリピーターたちの期待を裏切らない、手間暇がかかった味が楽しめます。

謝朋酒樓(シャホウシュロウ)

所在地 神奈川県横浜市中区山下町188
電話番号 045-662-9113
営業時間 11:00~23:00(L.O.22:15)、土・日曜・祝日・祝前日10:30~23:00(L.O.22:15)
定休日 無休
交通 みなとみらい線元町・中華街駅より徒歩3分
https://www.shahoshuro.com/

●教えてくれたのは……

食いしん坊・公務員X

愛媛県生まれ。暮らしも仕事もすべてが横浜駅~横浜中華街付近の50代前半公務員。持ち前の食いしん坊&調べ尽くさずにはいられない気質から、中華街全域の調査にも余念がなく、その粘り強い姿勢を「横浜(ハマ)の中華街刑事(デカ)」と呼ぶ者も。精緻で豊富な知識は、都内の食通から情報を求められるほど。ときには「とんかつ」「デパ地下」「アニサキス」などを追っている。


ライター・嶺月香里

東京都生まれ。横浜中華街の1年を通した連載を手がけるなど、中華街を取材し続けて10年以上。老舗の名物はもちろん新店にも積極的に足を運び、中華街の深淵を日々探索中。酒と肴と動物性たんぱく質が主食で、ウナギが大好き。CREA WEBで「教えて! ウナギ大好き、ウ大臣」のコラムをあげている。食以外では「温泉」と「恐竜・鉱物」がライフワーク。


「ホテルニューグランド」副総支配人・谷口謙一郎

東京都生まれ。「帝国ホテル」「ウェスティンホテル東京」などで、マーケティング・広報などを歴任。現在は横浜のクラシックホテル「ホテルニューグランド」で副総支配人を務める。無類の中華料理好きで、特に「ウェスティンホテル東京」時代はホテル内のレストラン「龍天門」から続々とヒットメニューを提案。現在は都内から横浜に通勤しながら、横浜中華街のみならず、市内の中華料理店のパトロールに余念がない。

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2024.03.27(水)
文=嶺月香里
写真=志水 隆