2018年のアフガニスタンを舞台にした映画『コヴェナント/約束の救出』に主演したジェイク・ギレンホール。映画は『アラジン』などの英国人監督ガイ・リッチーがドキュメンタリーから着想を得て誕生した社会派ドラマで、ジェイクは自分の命を助けてくれた現地通訳を救出するため、再び戦場へ戻る選択をした軍人を演じる。

 『ブロークバック・マウンテン』はじめ数々の名作に出演したジェイク。インタビューでは演技者として、人として何を大切にしているかをとても真摯に語り、若くしてスターとなったとは思えない、とても謙虚で温かい人柄が感じられた。


――まず、この映画に出演した理由を教えてください。

ジェイク かなり以前から、アフガニスタンとアメリカの関係についての話を語りたいと思っていました。現地の人々にまつわる話を色々と聞いていたので。同時にガイ・リッチーと一緒に仕事をしたいとも、長い間思っていました。彼とは15年以上前から知り合いなんです。それ以前からガイのファンだった期間も長かった。そして、ガイが『コヴェナント/約束の救出』のストーリーを僕に聞かせてくれた時、これは僕の希望が一度に叶えられるまたとない機会となったわけです。

――ジェイクさんが演じたジョン・キンリーは、映画によく出てくるような鬼軍曹ではなく、心に柔らかい部分を残しているような人物です。この人物像は、監督とあなたのどちらのアイディアだったのでしょうか?

ジェイク どこか柔らかい部分というのは、僕に生まれつき備わっている部分なんだろうと思いたいですね。典型的な軍人像というのに陥りたくはなかったし、軍隊にいる人がみんな鬼軍曹かと言えば、そんなことはないわけです。軍人といえどもみんな人間ですから。

 でも僕が二人の関係性を見せる上で一番こだわったのは、決して感傷的にならないこと。ガイ・リッチーもそこにこだわっていました。感傷性(センチメンタリティ)ではなく、感受性(センシティビティ)があるからこそ、お互いを助けるわけです。相手がどんな人間かは関係なく、人を助ける感性があった。多分、僕に柔らかい部分があるからガイは僕を選んだのでしょうし、同時に僕がこの役を演じたいと思った理由でもあるわけです。やっぱり監督はキャスティングするときに、役者の中にある何かを見ているんです。

――ジョンという人物を演じるにあたり、大切にした部分を教えてください。

ジェイク まずジョンは軍人なのでフィジカルなもの、武器の扱い方、敵と戦うときの動き方が正確でないといけない。今まで軍人を何度も演じてきたので、いろんな人に会いましたし、経験値が活かせた部分もあります。そしてこの映画では、かなりのコミュニケーションが言葉以外のもので行われるんです。これはガイと最初から話していたことですね。

 それから何と言ったらいいかな……(かなり悩んで)、何かありがちな感じに傾かないよう、物語の語り方を抑制し続けることがとても重要でした。それがこの映画の成否を決めるんです。つまり、僕が演じるジョンと通訳のアーメッドは、お互いのことがあまり好きなわけではないんです。でも、それって最高だなと僕は思ったんですよ(笑)。人間として正しいことをすべき時、相手を必ずしも好きである必要はないんです。そのことを大きな指針、北極星としてとして胸に抱き続けていました。

2024.03.05(火)
文=石津文子