●田沼さんの「夜ふかしにおすすめ」のマンガは?

――「夜ふかしして読みたいマンガ」をおすすめするなら?

田沼 私自身、ずっと夜ふかししてマンガを読んできた人間なんですが。「夜ふかしマンガ大賞」と聞いて思い浮かんだのは『ハチワンダイバー』(柴田ヨクサル)です。義理の兄に貸したら「人生で初めて徹夜して読んだ」と言われたので、ぴったりかもと(笑)。

――ぐいぐい引きこまれて読むって至福の時間ですよね。

田沼 いいキャラの宝庫なんですよ! 『熱海くん』に出てくる国島くんのモデルみたいな人も出てきます。描いた時は意識してなかったんですけど、読み返したら「いっしょや!」って気がついて。

――ところで、『四十九日のお終いに』に収録の『やさしいかかと』には驚きました。靴のかかとの擬人化は世界初では!?

田沼 靴のかかとが落ちてるのを見かけることがあって。なんとなく気になったので「かかとが落ちてる」ってメモしておいたんです。同人誌用に短編を描く時にメモを見て「かかと……なんで落ちてるのかな? 落とした人はなんでそのまま行っちゃうのかな」なんて考えながら作った作品です。日常SFみたいなのも好きで。

――日々、どんなことをメモしているのか気になります。マンガのネタ用のメモですか?

田沼 気になったことを書き留めるのは、マンガを描き始める前からの習慣で癖みたいなものですね。「マンガに使えるかも」と思ってメモすることもありますけど、活かせることの方が稀です(笑)。自分でもどうしてこれをメモしたのかわからないようなのもあります。

――将来的にこんなマンガを描いてみたいという構想があれば教えてください。

田沼 お仕事マンガとか専門的なことが描かれているマンガが好きなので、いつかそういう現場をしっかり取材して描いてみたいなと漠然と思っています。佐々木倫子さんのお仕事マンガが好きなので。海外ドラマの影響もあるかもしれません。チームで仕事する人たちの関係性も興味深いです。

――ありがとうございました。

いやはや熱海くん 1 (ハルタコミックス)

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四十九日のお終いに 田沼朝作品集 (ハルタコミックス)

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田沼 朝(たぬま・あさ)さん

大阪府生まれ。2014年より同人活動を始め、21年5月に商業誌デビュー。23年1月に漫画誌『ハルタ』(KADOKAWA)にて連載中の『いやはや熱海くん』1巻と『四十九日のお終いに 田沼 朝作品集』の同時刊行が話題となった、いま注目の描き手です。