この記事の連載

消えそうな命との出会い。頼むから生きてくれ!!

 本格的にお世話への使命感が芽生えたのは、助六を拾ったとき。カリカリのヘソの緒がついた生後2日くらいの赤ちゃんやったから、もうホンマに目が離せんくて。というか、目を離すのが怖い!! 2時間おきにミルクをあげて、トイレも手伝わなアカンし。お世話の仕方はご近所さんの連絡で嵐のように駆けつけてくれた、保護団体のおばちゃんが教えてくれはりました。

 保護した時点で「これはもう絶対、自分が面倒を見なアカンねんな」とは覚悟しとったんです。けど、改まって「あなたが親代わりだからね! 命を守ってね」と言われたり、すぐそばに消えそうな命があると思ったりすると緊張してもうて……。結局、一睡もできんまま、翌日の朝イチで病院へ。

 今度のお医者さんはめっちゃいい先生。お世話の仕方や必要なものもいろいろ教えてくれはったし。でも、「先天性の異常があるかもしれない」「このコがオトナになれるかどうかは五分五分です」と言われたもんやから、またしても気が気じゃなくて……。そっから2~3週間は毎日が不安との闘いでした。助六を入れてるバケツの中を覗くたびに、「死んでたらどうしよう!?」って。あまりにも怖すぎて、お世話以外の時間もチラチラ覗いたり、そっと手を入れては「生きとるかな?」「バケツの中、寒くないかな?」って確かめたり。

 2時間おきのお世話も、もうてんやわんや。幸いにも家と劇場との距離が自転車で5分くらいやったんで、舞台の前後やチケット売り、ネタ合わせの合間にパッと帰ってはミルクやトイレ。「ごめん、ミルクの時間や」って言うと、お兄ちゃんも「うん、行っとき!」みたいな感じで快く送りだしてくれて。マンガ喫茶でのバイトのときは、バックヤードに助六が入ったバケツを持ち込ませてもらっとりました(あのときのみなさん、本当にありがとうございました!!)

2023.08.11(金)
『保護ネコに幸せにしてもった僕の推しネコ活』(主婦の友社)より抜粋
著者=ミキ・亜生
監修=今泉忠明
リード文=CREA編集部