投資をやりたいと思っている人が、まずは家計管理からと言われると、出鼻をくじかれるかもしれませんが、日々の生活をきちんと送ることを、まずは最優先で考えましょう。家計を見直すと、わりと余分な出費がかかっている場合があります。各家庭の判断軸の中で「これくらいはかかる」と思っていても、家計の専門家から見ると、「ここの固定費、落とせますね」とか「この死亡保障はいらなくないですか」という部分が発見できるものです。こういった部分を見直して、まずはいい家計状態にあることを前提にしておくべきだと思います。

 投資を含む家計全般を見ていく上で参考にしてほしいのが、私が提唱している「ショウ(消費)・ロウ(浪費)・トウ(投資)」の考え方です。

ショウ(消費)・ロウ(浪費)・トウ(投資)とは

 お金は、生活に欠かすことのできない支出(消費)、なくても生活に支障のない支出(浪費)、将来の自分に返ってくる支出(投資)の三つに分けて考えることが必要です。家計簿の各項目がどれに該当するのかを普段から意識しておくようにしましょう。これを、横山式節約術では「ショウ・ロウ・トウ」と呼んでいます。

 例えば、同じ「交通費」をかけて電車に乗る場合でも、通院のためなら「消費」、ふらっと外出するためなら「浪費」に該当します。社会人教育の受講に行くなら「投資」となります。

「ショウ・ロウ・トウ」は、金額でなく、割合で確認することによって、自分のお金がどう偏っているのかを客観的に判断できるはずです。

 消費:浪費:投資=70%:5%:25%(貯金の16.7%は投資に入る)

 この割合を意識しながら、1週間ごとにお金の使い方をチェックしておくのがいいでしょう。極端に節約に努めようとしなくても、貯金ができ、投資に回すお金ができるようになっていくはずです。

 このように、家計が適正かどうかについての見極めは自分でもできると思います。投資や保険といった具体的な金融商品の中身については、ファイナンシャルプランナーに相談するのもいいでしょう。(#2に続く)

お金のプロが「投資は定年後からでも大丈夫」と断言する“納得の理由” へ続く

2023.07.19(水)
文=横山 光昭