火山が島にもたらした恩恵とは

 中心となるのは、2つの島が合体した地峡部の南に位置する本村。ここに屋久島からのフェリーが発着する港や、1軒のみの商店や酒店、郵便局や小中学校もあります。

 島のガイドを行う「えらぶ年寄り組」に、島内を案内してもらいました。

 最初に向かったのは標高291メートルの番屋ヶ峰。この高台からは緑豊かな島と沖に浮かぶ三島の島々が望めます。

 そしてこの番屋ヶ峰には島民が1週間、避難できるだけの食料などを備蓄した避難所があります。

 続いて、2015年の噴火の際に火砕流が押し寄せ、海岸まで達した向江浜へ。

 その噴火時、噴煙は上空9,000メートルまで達し、巨大な噴石も飛散。それでも噴火から約5時間半後には屋久島への全島民の避難が完了、負傷者も出なかったそうです。

 向江浜にはごろごろとした岩の原に骨のように白くなった立ち木が数本、屋根まで土石に埋まった民家も。生命の気配が感じられない溶岩台地に、小川のせせらぎだけが妙に鮮やかに耳に届きます。

 しかし、火山が招くのは災害ばかりではありません。火山がこの島にもたらした恩恵の最たるものが、温泉でしょう。島内には4つの温泉があり、それぞれ泉質や効能、雰囲気が異なります。島内の秘湯めぐりに出かけてみました。

2023.06.03(土)
文・撮影=古関千恵子