紅葉を見に、京都へ行こう! 京都在住の写真家・小林禎弘さんが、長年の撮影の経験を踏まえて紅葉の名所を紹介します。京都の人ならではの行き届いた観光案内、撮影指南としてもお楽しみいただけます。

【第5位】祇王寺

祇王寺の庭。黄色や赤に色づいた葉が織りなす美しさは訪れる時期や時間帯によっても変わるので何度でも訪れたくなる

 祇王寺は「平家物語」にもあるように、白拍子の祇王が平清盛への恋に破れ出家した草庵のなごりとされています。なんとその恋敵であったはずの仏御前も尼僧となり、ともに仏門の修行を行なったということです。

 嵐山亀山公園の北、二尊院のそばの道を小倉山へ向かってぶらぶら歩くと、どんつきに見えてくるのが祇王寺で、少し奥の柴垣に囲まれた小さな檜皮葺の門が入り口です。その左手は滝口寺へ通じる坂道で、紅葉が散り、迫る山には楓の林とここだけでも詫びた風情があります。

 紅葉の時期はすごい混雑ぶりなので、人影がない奇跡の瞬間が現れたら幸運だと思って冷静にファインダー(今は液晶画面か?)の四隅を確認し、さっさと何枚かシャッターを切りましょう。

 境内に入るとあたり一面が苔むした庭に130本の楓が植わった光景が出迎えてくれます。その楓の林の奥に茅葺の本堂が佇んでいます。本尊は大日如来。実は明治期には衰退して廃寺となっていたものを、画家の富岡鉄斎らが尽力して再興したのだといいます。建物は京都府3代目知事だった北垣国道が寄進したそうです。

 本堂を画面の3分の1くらいの大きさで、紅葉が舞い散る苔の地面をしっかり入れて撮影すると良いでしょう。本堂を画面の右、中央、左とそれぞれ配した絵も撮影しておきましょう。紅葉の時期、通路は一方通行になり、立ち止まれますが後戻りはできません。三脚は使用禁止です。恋の諍いさえ乗り越えた祇王と仏御前を偲んで、諍いの心を戒め、マナー良くお参りしましょう。

祇王寺の紅葉スポット
交通手段 市バス・京都バス「嵯峨釈迦堂前」下車徒歩約10分(京都駅前からバスで約45分)、JR京都駅から嵯峨野線にて「嵯峨嵐山」下車(約15分)、徒歩約20分

小林禎弘
フォトグラファー。京都市生まれの京都市育ち。同志社大学を卒業後3年間の公務員を経て撮影の世界へ。雑誌、書籍、広告を舞台として、京都を中心に西日本を幅広くカバー。「撮影歴30年ですが、それくらいでは京都の事はまだまだわかりまへん」。

2013.09.26(木)