釣りの聖地でエキサイティングな船釣りを初体験

 リゾートに行きたい! 南国ビーチに行きたい! おいしいものが食べたい! そんな思いを募らせること、早2年。制限付きで観光客の受け入れを表明している国・地域が一部あるとはいえ、かつてのように自由に海外旅行ができるまでには、まだまだ時間がかかりそう。

 そんな海外旅行好きの心を満たしてくれる島が、九州の西の果てにある。大小150ほどの島々からなる五島列島の中で、一番大きな福江島を擁する五島市だ。

 五島市の魅力は、独特の景観やカルチャー。人の営みと調和した自然や日本有数の美しいビーチに心が癒やされ、キリシタンの歴史を秘めた小さな教会に心が洗われ、島ならではの新鮮な食に胃袋を掴まれてしまう。

 さらに、福江島には五島列島で唯一、五島つばき空港に定期便が運航している。

 長崎からわずか約30分、福岡からは約40分。長崎からのんびりジェットフォイルを利用するなら約1時間25分。福江島を拠点に、二次離島の久賀島や奈留島で世界遺産の集落や教会を訪ねたり、日本の秘境百選に選ばれている嵯峨島までクルーズしたりと、楽しみは尽きない。

 そんな島旅を何倍も楽しくしてくれるのが、数々のアウトドア体験だ。五島市のアウトドアといえば、まずは海釣り。国内屈指の魚影の濃さを誇るここは、日本中から釣り客が訪れる釣りの聖地なのだ。

 ビギナーでも心配は無用。主催・アレンジする五島市体験交流協議会(JSH)に1週間前までに申し込めば、当日はベテラン漁師が手厚くガイドしてくれる(荒天時は、磯釣りや陸上での魚さばき体験に変更)。

 五島に到着した日の翌朝、「みさき丸」に乗って、大海原へ。この日のホストであり船主の松本隆三さんは、漁師として生きることを目指して五島に移り住み夢を叶えた、海と釣りをこよなく愛する人。

 用意するものは、寒さ対策として防風のアウターと帽子、日焼け止めをしっかり塗ることぐらい。特別な準備をしなくても、松本さんが手取り足取りサポートしてくれる。

 心配どころかむしろ、釣り好きが憧れる聖地で初めて釣り糸を垂れる優越感を感じるはず。

 水深60~70メートルの釣りスポットに到着したところで、船を停泊して釣り糸を垂れる。釣り糸が海底に着いたら、リールをちょっと巻いて、ひたすら待つのみ。

 退屈するかな? と思いきや、「あれは人口1人の黒島、あっちに見えるのは人より猫が多い黄島」と、海に浮かぶ島々について教えてもらったり、コスメ系大手企業から脱サラした松本さんのストーリーを聞いたりするのが面白くて、時間があっという間に過ぎてゆく。

 「海風で乾燥した肌には、五島産の椿オイルが効果的。洗顔後の濡れた肌ならムラなく塗れますよ」と、まさかの漁師発美容情報も。

 ほどなくして、釣り竿に強い引きが。必死でリールを巻くと、立派なアオハタ!

 船上に思わず上がるワー! キャー! という歓声も、クールに受け止めてくれる松本さんの懐の深さがありがたい。興奮さめやらぬうちに、次は高級魚として知られるアカヤガラまで釣れてしまった。

 今まで「寒そう」「難しそう」と思っていた海釣りが、こんなに楽しかったなんて!

 ちなみに、松本さんは「釣り体験民泊みさき丸」も運営。自分で釣った魚を夕飯に食べたい! という人はぜひ。

五島市体験交流協議会(JSH)

電話番号 0959-76-3600
営業時間 9:00~18:00(平日)
https://www.goto-shimatabi.com/


釣り体験民泊みさき丸

電話番号 080-5283-0026
https://misakimaru.business.site/

2022.01.12(水)
文=芹澤和美
撮影=鈴木七絵