「越の国」を発見する旅へ

「越の国」を発見する旅へ

過去、現在そして未来、
伝統が息づく南砺へ

 夏でも雪を頂く標高3000m級の立山連峰。水深1000mの海底谷を刻む富山湾。高低差4000mが生み出す四季折々の豊かな自然、食、文化が富山県にはあります。

 歴史と伝統、そして活力にあふれた「越の国」を発見する旅に、あなたも出かけませんか。富山の魅力を4つのテーマごとに紹介します。

» 富山の見どころダイジェスト
» 越中の「匠」を訪ねる
» ものづくりのまち高岡
» 伝統が息づく南砺

世界遺産 相倉合掌造り集落。五箇山ではゆっくりと時間が流れていく

 いよいよ旅も終わりに近づいた。最後に、今回の旅のきっかけとなった城端絹を訪ねることにした。城端がある南砺市は富山県の南西端。1995年ユネスコの世界遺産に登録された五箇山合掌造り集落がある。

まれに2頭の蚕がひとつの繭をつくることがある。その繭から作った「玉糸」には節があり、それを横糸に使うことで絹に微妙な表情が醸し出される。「しけ絹」はクラフト素材として可能性を秘めていると紀子さんは言う<株式会社 松井機業>

 城端絹の特徴は「しけ絹」だ。2頭の蚕がひとつの繭をつくる玉繭の糸を使って、独特の風合いを出す。日本橋髙島屋のタペストリーを手がけた松井機業さんを訪ねると、出てきたのは20代のうら若き女性だった。6代目見習・松井紀子さん。3年前までは東京の証券会社で働いていたが、いまは故郷に戻って城端絹の新商品開発を担当している。「かつては町のあちらこちらから機織りの音が聞こえていたそうですが、今では『しけ絹』を作っているのもうち1軒になってしまいました。頑張らないと」と紀子さん。そんな彼女を勇気づける伝統工芸の「匠」が城端にいる。400年以上の歴史を持つ城端蒔絵の継承者、16代目小原好喬さんだ。城端蒔絵の特徴である鮮やかな白漆の技法は一子相伝の技として代々受け継がれてきた。「先人たちが手がけたものを丹念に見ていけば、今の時代に自分が何をしなければならないのかが、自ずと見えてくるんです」。34歳の若き「匠」の力強い言葉に、紀子さんならずとも感動してしまう。「僕は城端人。ここを離れるつもりはまったくない」と好喬さんは言う。その土地とものづくりが密接に結びついているのは、井波の木彫刻も同様だ。

工房での16代目好喬さん。重要無形民俗文化財に指定されている城端曳山の製作、修理に代々携わってきた。「曳山は先人たちの技術の粋が結集された教科書」だと言う。城端曳山会館には好喬さんの作品も展示されている<城端曳山会館>

<次のページ> 井波彫刻と五箇山和紙の「匠」を訪ねて

2013.06.10(月)

photo:Atsushi Hashimoto / Mami Yamada
illustration:Megumi Asakura
text:CREA Traveller
produced:Sachiko Seki
cooperation:Toyama-ken / Toyama-shi / Takaoka-shi / Nanto-shi

※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

CREA Traveller 2013年夏号

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