「オスの場合は高身長でよく食べて、体が大きくて、ガチムチ、いい声。羽づくろいが上手で、何かあったら守ってくれるタイプ。メスは落ち着きがあって、よく食べて、ちょっとぽっちゃりした子がモテているようにみえますね」(すみだ水族館・山口さん)

「オスは大柄でどっしりとしたタイプでしょうか。一方でメスの場合は“あなたについていきます!”的な、いつも寄り添ってくれるようなタイプに人気が集まることが多い」(しながわ水族館・渡邉さん)

飼育員人気No.1のイケメンがナンパ全敗中

 しかし一方でまったくモテないペンギンもいるようだ。京都水族館広報の松本さんは、「《せん(千本通り)》♂は数年前まで1羽でいることが多く、いわゆる “一匹狼”でした。しかし2020年頃から多数のメスにアプローチするようになり、そして全敗してしまいました」と話す。

「飼育員によると、《せん》は“羽をパタパタさせながら、興味のある相手に近づく”という行動をとっていたそうです。これはケープペンギンのアプローチ方法のひとつなので、《せん》の行動が特に悪かったわけではないと思うのですが……。だから全敗の理由はおそらく、《せん》がパートナーのいるメスばかりにアプローチをしているからだと思います」

《せん》がアプローチしたのは、17歳年上の《かまんざ》♂(京都水族館のペンギンの中で最年長)とペアの《さや》♀、初恋の《よしや》♂とよく寄り添いながら仲睦まじい様子を見せてくれる《ぽん》♀、頭部の羽が少し盛り上がっていてかわいらしい彼氏の《たこ》♂の翼を甘噛みする《もと》♀など、すでに相手のいる “既婚者”ばかりだったという。

 松本さんは「《せん》は、目が丸くて大きく、くちばしやあしのかたちもシュッとしていて細身なので、人間の女性スタッフには人気のイケメンなんですけどね……」(同前)となんだか残念そうだ。

 人間顔負けの乱倫な関係をつくるペンギンだが、すみだ水族館ではハッピーなニュースもあったようだ。《ラムネ》♀が《ゆず》♂とお見合いしてカップル成立となり、さらに初産卵したのだという。すみだ水族館広報の山口さんによると、飼育スタッフが“仲人”として暗躍したようだ。

2021.04.15(木)
文=環夏