アルハンブラの森に立つ老舗ホテル

カラヤンからレニー・クラヴィッツまで

レセプションを抜けて中央ホールへ。アンバーな光に包まれた空間で満喫するエキゾティックなティータイム

 ゲストブックを眺めてみると面白い。ロイヤルや各国首脳に加えて、カラヤン、ナルシソ・イエペス、プラシド・ドミンゴの名があると思えば、レニー・クラヴィッツも宿泊している。グラナダの詩人ガルシア・ロルカの名もあるし、サッカースペイン代表のキャプテン、イケル・カシージャスも滞在。名門ホテルだからさまざまな分野の賓客が宿泊するのは当然なのだが、並んだ名前の豪勢さはさすがだ。

 夕刻、このホテルのとっておきが、ラウンジ奥のテラスで展開される。シエラ・ネバダ山脈からサンタフェにかけて、紫に染まるグラナダの夕景を一望にできるのだ。

左：バーラウンンジのテラスからは、グラナダの街がオレンジに、パープルに染まってゆく夕景が楽しめる
右：スイートルーム711号室のベッドルーム。調度品はグラナダの職人に作らせたもので、モダンだがアラブ的な味わいがある

 美しい。アルハンブラに住むムスリムの王も、かつてグラナダの夕景に涙したんじゃないかと感慨にふける。諸行無常の美しさかな。

photographs:Yuji Ono
realization & text:Satsuki Ohsawa
coordination:Terumi Moriya