地元地中海の食材を使った料理やデザートは忘れられない味わい

左:“エトワール・デュ・スポーティング モンテ・カルロ”のオープンテラスになる会場で20ほどの生産者が集い、地中海を代表する食材を展示した
右:代表的な魚のスープの味わいが思い出される。デュカスの店でもスペシャリテで供されている

 メインのガラ・ディナーには、モナコ大公のアルベール2世もシャルレーヌ妃を伴って参加され、デュカス氏のモナコにもたらした功績を讃えました。“ルイ・キャーンズ”の料理の個性は“地中海料理”であること。周辺の生産者から仕入れた素材を使った、新鮮な料理であるということです。例えば、地中海に生息するカサゴなどの魚や、岩ダコ、蟹、野鳥、プロヴァンスのフルーツ、マントンの柑橘類、オリーブオイルなど。そんな素材を贅沢に使ったガラ・ディナーの料理は素晴らしく、特に記憶に残ったのは、アルベール大公自身が所有されている農場産の牛乳で作ったアイスクリーム。非常に濃厚で忘れられない味わいでした。

マルシェから見渡すことのできたモナコの風景。丘の上にモナコ公宮も見える

 ガラの前に開催された青空マーケットでは、そんな生産者たちが集まって生産品を紹介していました。20ほどの生産者が地中海を代表する100以上の食材をスタンドに展示しての、試食会。生産者、シェフ同士の歓談も、青空にも恵まれて盛り上がり、デュカス氏がカンファレンスで語ったように「“ロコ(地方性を大切にする)”であること」が、今後の料理界のキーワードになっていきそうです。

Le Louis XV–Alain Ducasse (ル・ルイ・キャーンズ−アラン・デュカス)
住所 Hôtel de Paris内 Pl du Casino
電話番号 +377-98-06-88-64
URL www.alain-ducasse.com

伊藤文(いとうあや)
パリ在住食ジャーナリスト・翻訳家。立教大学卒業。コルドンブルー・パリ校で製菓を学んだ後、フランスにて食文化を中心に据えた取材を重ねる。訳書に『ロブション自伝』『招客必携』(いずれも中央公論新社)、著書に『パリを自転車で走ろう』(グラフィック社)など。日本復興支援協会GANBALO代表。

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text:Aya Ito