雨の多いことで知られるロンドンで、屋内でまで雨を体験する3Dエキシビションが3時間待ちの大人気、と言ったら、不思議に思われるでしょうか。

 こちらのエキシビション、総合文化施設バービカン・センターで行われている「レイン・ルーム」は、1分間に1000リットルの水が天井から落ちてくる、まさに大豪雨状態を人工的に作り出した空間。しかし、なかに入ってみると、なんと自分のいる場所だけ雨がやみ、大豪雨のなか、自分だけが濡れずに歩くことができるという、非常に奇妙な体験ができるユニークなエキシビションです。

ランダム・インターナショナルの3人。左から、ハナス・コー、スチュワート・ウッド、フロリアン・オートクラス
(C) Felix Clay. Rain Room - Random International 2012. Courtesy of Barbican Art Gallery

 この仕組みは、両側に設置された合計8台の3Dカメラが人間やものを認識し、その上部にある降雨口のみ、水を止める、というもの。制作したのは、実験的なアート活動を行っているランダム・インターナショナル(rAndom International)という3人組で、「オブザーバー」紙が選ぶ「英国のトップ10デザイナー」をはじめ、これまでに数々のアワードを受賞している新進気鋭のアーティストです。

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text&photographs:Kazuyo Yasuda(KRess Europe)