自分の好きなコーヒーが一番!
それがモットー

 スイスのコーヒーファンの間では、2018年に世界コーヒーチャンピオンシップの抽出技術部門(フィルターコーヒー)で世界一に選ばれた、深堀絵美さんがチューリヒで経営するコーヒーショップが話題になっています。

 1店舗目はお洒落なお店が多いJosefstrasse、2店舗目はチューリヒ湖が近いSeefeldstrasse。今回はSeefeldのお店を訪れてみました。

 なんと深堀さんは2015年にスイス・コーヒー・チャンピオンシップのバリスタ部門で、2018年には同じスイス大会のコーヒー抽出技術部門で優勝している腕前。日本人女性がスイスを拠点に世界で活躍しています。

 共同経営者でもありパートナーのマシューさんも2018年に世界大会のバリスタ部門で3位に輝いています。

 コーヒーショップの名前は「MAME」。モットーは「The best coffee is the coffee you like」。自分の好きなコーヒーが一番! という意味。

 「世界中で見つけ出した様々な豆を提供し、お客様自身でお好みを探してもらいたい。そのガイディングをするのが私の仕事」と笑顔で答えてくれました。

 店内には余計なものはなく、すっきりと整っています。写真の手前にもテーブルがあり、ベビーカーで来た子連れの方にも入りやすく、広い空間です。

まるでカウンセラーのよう
おもてなしの精神で好みを聞き出す

 深堀さんがいろいろ教えてくださいました。

 素材の旨みを大事にする美食家の日本人は舌が肥えているので、コーヒーの味の表現も豊かだそうです。

 苦味や渋味、えぐみという特有な細かい表現がそれにあたります。気になって苦味と渋味について調べてみました。

 生理学的定義に基づく味覚の五原味(甘・酸・塩・苦・旨味)には含まれないものに、辛味・渋味・冷味・刺激味があります。

 これらは味覚ではなく触覚に近い感覚。渋味は苦味と似ていますが異なるものであり、例えば、柿渋の渋味はタンニン、茶葉の渋みはカテキン、苦味はカフェインによるもの。

 渋味は味を分類する概念の一つで、日本の伝統的な美意識の一つでもある、とのこと。奥が深いです!

 コーヒーミル。注文ごとに豆を挽きます。

文・撮影=西村志津