#171 Vakkaru Maldives
ヴァッカル・モルディブ
(モルディブ)

 世界初の海中レジデンスやバブル型のテントに、島を横断するロングプール……。

 このところモルディブでは、奇想天外なアイデアを形にした、いわば飛び道具的な施設をもつリゾートが話題を呼んでいます。

 一方、それほど大掛かりではない新しいトレンドも生まれています。

 たとえば、水上コテージで海面の上にネットを張った“カタマランネット”や星空の下でのシネマ鑑賞のようなロマンティックな演出もあれば、オーガニックファーム(土壌が痩せているので、野菜栽培が難しいため)やワインセラー(温度管理が難しいため)といったモルディブの環境を克服したものも。

 今回ご紹介するヴァッカル・モルディブは、2017年12月にバア環礁にオープンした5ツ星リゾート。

 後発組のメリットを生かし、大掛かりではないけれども評判のいいトレンドを巧みに取り入れた上で、客室はハイテク。いい意味で、いいとこ取りなのです。

 “ヴァッカル”とは、モルディブの言葉で“ヤシの木”という意味。

 かつてヤシ農園だった島には、今も1,400本のヤシの木がにょきにょきと生えています。そのせいか、新しいリゾートながら、緑が豊かで落ち着きを感じます。

 ちなみに、南アリ環礁にあるダイビングリゾート「ヴァカルファリ」とは別のリゾートになります。

 125の客室は、ビーチと水上がほぼ半々。プライベートプール付きやファミリー向けなどタイプが細かく分かれ、2階建て4ベッドルームのハイエンドな客室もあります。

 オランダ人デザイナーが手掛けた客室は、モルディブのモスクなどでみられる精緻なカービングなど伝統的なモチーフがアクセントになった、エレガントな雰囲気です。

2019.04.13(土)
文・撮影=古関千恵子