前回は話題の蒸し料理のお店をご紹介しましたが、今回は同じ蒸し料理でもスイーツ系をご紹介いたします。

 気温もぐっと下がり、台湾でも温かい食べ物がしみじみおいしく感じられる季節。

 お店で手作りする伝統的な中華菓子はせいろで蒸して作るものも多く、もくもくとせいろから湯気が立ち上る光景は大変雰囲気があります。

 餅菓子だったり、小豆餡が入っていたり、日本の和菓子とどこか通じるところもありますが、こんなものもあるんだと新鮮な発見もあることでしょう。

 その場で食べるもよし、台湾土産として持ち帰るもよし、寒い時期だからこそより一層おいしく感じられる蒸し菓子。ぜひ台湾茶と合わせてお召し上がりください!

伝統市場内にある
蒸し菓子が並ぶ老舗餅屋

 下町の雰囲気が漂う、観光名所としても有名な「龍山寺」。この近くで市民の台所となっているのが「新富市場(東三水街市場)」というローカルな伝統市場。

 アーケード付きなので天候に関係なく買い物ができ、野菜、魚、肉、各種惣菜、衣料品などが変則的に並ぶところが台湾らしくもあります。

 人情味溢れる市場は、いつも地元の買い物客で賑わっており、京都の錦市場のように出来たての揚げ物などをパクつきながら歩くのもおすすめ。

 そんな新富市場の中間にある、餅菓子を中心とした伝統的な蒸し菓子などを取り扱う店が、今回ご紹介する「紅龜伯」です。

 店頭には毎日朝4時から仕込みをはじめるという手作りの蒸し菓子やお惣菜がぎっしり。店の奥には60年以上も使用しているという年季の入ったせいろが目に入ります。

 陳列されているのは調理前の湯圓(白玉だんごのようなもの)、南部式のちまき、量り売りしている大きな白い大根餅など、自宅で軽い調理が必要なものから、買ってすぐに食べられるものまでさまざま。

 こちらの看板商品は縁起のいい亀の形をした伝統菓子「紅龜粿」。台湾をはじめ、東南アジア各国でも祝い菓子として食べられる餅菓子で値段は1つ30元(約105円)。

 中の餡は小豆とピーナッツの2種類で、日本の餅菓子よりも甘さが控えめ。大き目ですが食べやすいので女性でも1つは余裕で食べられるはず。

 その他にもたっぷりのタロイモを混ぜ込んで蒸した芋粿(20元)や、定番の小豆に胡麻が入った台湾の草餅「草仔粿」(20元)、さらに切り干し大根が入った「蘿蔔絲」や塩味の緑豆「鹹綠豆」といった甘くないものまで、見た目は一緒ですがバリエーション豊富に4種類。

 特に台湾人に人気の蘿蔔絲はおかず系おやつとしてあっさり食べられるのでおすすめ。

 どれもお財布に優しい値段なので、たっぷり買い込んでもリーズナブル。参拝後にはお持ち帰りができる龍山寺のお供え物にもぴったりです。

 ぜひ色々と買い込んで老舗の味をお試しください!

紅龜伯

所在地 台北市萬華區三水街56號
交通 MRT龍山寺駅3番出口より徒歩約3分
電話番号 02-2308-3503
営業時間 7:00~16:00
定休日 月曜日

2019.01.15(火)
文・撮影=矢作晃之