「ヒデキと青空を見て元気になる」
名曲7選

 後半は「元気をだせよ」系ヒデキでホップステップジャンプだ。

 さあ、君の下向いたココロにも響くぜ、ヒデキの掛け声が!

◆「走れ正直者」

 「ちびまる子ちゃん」のED。私は偶然、ご本人のパフォーマンス付き歌唱映像を見たことがある。むちゃくちゃカッコイイのだ。「ハムじゃないぃーッン♪」という歌詞を「激しい恋」の勢いそのままで絶唱。カワイイ歌なのに涙が出る。ヒデキのそういうところが最高なのだ! (作詞/さくらももこ 作曲/織田哲郎)

◆「俺たちの時代」

 1980年のモスクワ・オリンピックのJOC応援歌に予定されていた曲。「もどれないから青春さ」の歌詞とヒデキの座右の銘「一生青春」が深くリンク。「のびやか」という言葉がぴったりの、素晴らしく気持ちの良い一曲だ。(原作詞/熊野昌人 補作詞/たかたかし 作曲/水谷公生)

◆「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」

 カラオケで歌うと難しくてビビる! 「ヤングマンッ」の部分をかなり早口で歌わねばならないので「ヤンメンッ」となるのだが、いやいやカッコ良く歌えないのだ、これが。しかも最初から終わりまでずっとハイテンション……。自分で歌ってみてつくづくわかるヒデキの歌唱力と表現力。(作詞/Henri Belolo、Victor Wills 作曲/Jacques Morali 日本語詞/あまがいりゅうじ)

◆「若き獅子たち」

 ヒデキの歌声の向こうから、広い草原と、たてがみを風になびかせ空を眺めている獅子が見える、本当に見える! 映画のテーマソングのような壮大さ。ヒデキの歌は小さいことを吹き飛ばす大平原のようだ。(作詞/阿久悠 作曲/三木たかし)

◆「勇気があれば」

 限りなく優しく大きなヒデキの愛に包まれる曲。今日疲れても、明日があるよ、きっといい日だよ、と、静かに静かに背中をなでてくれる……そんな曲だ。激しいだけがヒデキではない。そっと寄り添ってくれる。それもヒデキなのだ。(作詞/山川啓介 作曲/筒美京平)

◆「蜃気楼」

 二度の脳梗塞を乗り越え、一言一言、丁寧に噛みしめて歌うような復活の歌声。高音の伸びの若々しさよ! そして、最後の絞り出すような「蜃気楼」に感動。悩んだ時「一筋の光」になる、それくらいのパワーがある声だ。(作詞・作曲/ko)

◆「ブルースカイ ブルー」

 そして、ラストの曲は『ブルースカイ ブルー』。

 脳内ヒデキコンサートは、この曲で締めたい。

 ヒデキ世代で、彼の歌が本当に好きだったというCREA WEB編集室のK氏が、「青空がどこまでも似合う歌手だったですね」としみじみと呟いたのが忘れられない。5月26日に営まれた葬儀でも、青い空が広がっていたという。

 「ブルースカイ ブルー」では「青空よ 遠い人に伝えて さよならと」という歌詞があるが、どれだけ多くのファンが、さよならの代わりに「ヒデキ、本当に感激をありがとう!」と伝えてほしいと青空に頼んだことだろう。(作詞/阿久悠 作曲/馬飼野康二)

 ヒデキは私たちの青春。一生、青春なのである。

田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。現在は「関西ウォーカー」で“Kansai Walkerで振り返る! 00年代の関西”連載中。著書に『昭和歌謡[出る単]1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2018.07.16(月)
文=田中 稲