料理はコースとアラカルトを用意しそれぞれに合うワインを提案

左:リブロースステーキ(1人分69ユーロ)風味が香り立つステーキには、サン・テステッフやコート・ロティを
右:スズキのセヴィッシュ、グレープフルーツとジンジャー風味(16ユーロ)

 料理はもちろん“タイユヴァン”のシェフ、アラン・ソリヴェレスが監修しています。メニューは39ユーロの前菜&メイン&デザートのリーズナブルなコースの他、アラカルトでアントレ10品、魚料理4品、肉料理6品、チーズ4種、デザート6品を用意。そして、その品々それぞれに合うワインを、7cl.と14cl.の量で、値段によって4種ずつ提案するというメニュー構成がオリジナル。底値が2.5ユーロというのもリーズナブルで驚きです。

 例えば鱈のタルタルには、シャトー・トゥルコー“キュヴェ・マジュール ”2010年を3ユーロ(7cl、以下同様)、ドメーヌ・ヴァシュロン、タイユヴァンコレクション・サンセール2008年6ユーロ、ドメーヌ・トランバックのゲヴュルツトラミネール“キュヴェ・ドゥ・セニャール・リボーピエール”2005年10ユーロ、ドメーヌ・ガングロフのコンドリュー2010年が17ユーロ、といったセレクションです。

 また、小鴨のフィレには、シャトー・シュヴァル・ブラン2004年を49ユーロで、季節のソルベにはドン・ペリニョン2003年を26.50ユーロで楽しむという経験も可能。

サーヴィスされるグラスの足には、メモリー名札を差し入れる

 質のよい料理にぴったりの、質のよいワインを薦めることを心がけているので、もちろん、その規則が絶対ではありません。他のチョイスがお好みなら、全部で現在4名いるソムリエたちが、最大の注意を払って、ワインを選んでくれるという応対にも心を配っています。年中無休で、変わらぬ質の高い味わいとサーヴィスを提供する、今のパリにはなくてはならない店となっています。

110 de Taillevent (110ドゥ・タイユヴァン)
住所 195 rue du Faubourg Saint Honoré 75008 Paris
電話番号 01-40-74-20-20
営業時間 12:15~14:15 19:30~22:15
定休日 無休
URL www.taillevent.com

伊藤文(いとうあや)
パリ在住食ジャーナリスト・翻訳家。立教大学卒業。コルドンブルー・パリ校で製菓を学んだ後、フランスにて食文化を中心に据えた取材を重ねる。訳書に『ロブション自伝』『招客必携』(いずれも中央公論新社)、著書に『パリを自転車で走ろう』(グラフィック社)など。日本復興支援協会GANBALO代表。

Column

気になる世界の街角から

世界の12都市から、何が旬で何が起きているかをリポートするこのコーナー。
その街に今すぐ飛んで行きたくなる情報ばかりです!

text:Aya Ito