世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。
第182回は、ラオス王国の都だったルアンパバンを芹澤和美さんがめぐります。
長年夢見ていた憧れの地
ルアンパバンへ
早朝の托鉢風景、夕日に照らされるメコン川、16世紀から街を見守り続ける黄金の寺……。そんな美しい風景写真を見るたび、いつかは旅してみたいと思っていたラオス・ルアンパバン。
ラオスの国土は日本の本州程度しかなく、人口はわずか約700万人。そんな小さな内陸の国にあって、1975年まで王国の首都として栄えていた街というだけでも神秘的に感じられて、ずっと憧れていた。
2018年春、ようやく、この街を旅する機会を得た。成田からタイ・バンコクを経由し、ルアンパバンまで十数時間かかる。直行便がないから行きにくいのだが、それもまた、かの地への憧れが増して、心がくすぐられる。
ルアンパバンの街は空港からわずか約5キロと近いものの、道路は整備されているとはいいがたい。ガタガタの道を行く車の窓から見えるのは、3人乗りのバイクやトゥクトゥク、雑貨を売る露店の数々。
道端に堂々と干された洗濯物や、闊歩する野良犬たちに、「これぞ東南アジア最後の秘境!」と、心がワクワクしてしまう。
この旅で滞在したのは、2018年3月に誕生したばかりの「アヴァニプラス ルアンパバーン」。
街のど真ん中に位置し、ルアンパバン名物のナイトマーケットはすぐ目の前という絶好のロケーションにある。夜に街を歩くなら、ホテルは少しでも近いほうがいい。街の風景にしっくりと馴染むクラシカルな外観も好印象で、このホテルに泊まることに決めた。
案内された部屋は、街の中心地にあるとは思えないほど、外の喧騒とは無縁。外はまだ日が高く気温も高い。まずはゆっくりと、部屋でひとやすみ。長い移動時間を経て現地に到着した後、体力をいかに回復させるかが、その後の行動力に影響するのだ。
部屋に用意されているアメニティやミネラルウォーターは、籐細工に包まれていて東南アジアの風情たっぷり。こうしたあしらいも、旅の気分を盛り上げる。
2018.05.01(火)
文・撮影=芹澤和美