ヨーロッパでも有数の温泉天国
歴史ある温泉文化をもつチェコ

14世紀に国王カレル4世が狩りの途中に見つけたと言われる有名温泉地カルロヴィ・ヴァリ。

 チェコ共和国内には多くの温泉施設があり、実はヨーロッパのなかでも有数の温泉天国ということを知っていましたか? 質が高くて、しかもリーズナブルなチェコの温泉は、施設も充実。他国からも多くの人が保養や治療に訪れ、スパツーリズムがとても盛んです。首都プラハではなく、温泉地で有名な町へとすぐに向かう旅行者もいるほどです。

 そもそもチェコの温泉の歴史はすでに15世紀頃から始まっていました。現代ではセレブと言われる当時の貴族や富豪達の余暇の過ごし方は、有名な温泉地へ行って保養したり、そこで繰り広げられる社交界に参加したりすることだったのです。

 17世紀から18世紀になると上流貴族や、音楽家や詩人などの文化人、はたまた各国の王家や王様などが足しげく現在のチェコ国内(当時はオーストリア大公国領)にある温泉保養地に通っていた歴史が残されています。

 その後の時代から現代に至るまで、チェコでは温泉保養地は国民の癒しの場です。まさに日本人が温泉を愛してやまないように、チェコ人も保養施設での休暇を生活の中に取り入れ、病気の治癒の助けや体の保養、美容のために出かけます。チェコの人々も温泉を心から愛する国民だったのです。

温泉地には源泉がほとばしる光景も。(カルロヴィ・ヴァリにて)

 ただし、ひとつだけ、日本とチェコの温泉の楽しみ方に大きな違いがあります。それはチェコでは飲泉がメインであること。要するに温泉水を積極的に飲み、体内から治癒をするのです。

 チェコでは本格的な保養の場合、かかりつけ医から病気の症状によりどこの温泉地でどの成分の温泉水をどのくらい飲んで保養するのかという具体的な処方を受け、それに従って保養施設に滞在するのが一般的。長いと数週間から数か月に及ぶこともあり、過去にはすべての費用に保険が適用されていた時代もありました。

 保養地には医師が常勤しているのが普通で、外国人でも保養中に診断書を作成してもらい、保養地の施設を正しく使用することが可能となっています。

飲泉が主流のチェコの温泉保養地、飲泉用のカップも可愛い。

 また幼少期の喘息などの気管支疾患やアトピーなどの皮膚炎も、温泉地での保養が保険適用の対象となっています。保養地のなかには山間部の空気が綺麗な場所も多く、比較的海抜の低いチェコ各都市の慢性的な大気の汚染などで苦しむ子供達には嬉しい計らいとなっています。

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文・撮影=クレメントゆみ子