中ノ島にある隠岐神社は後鳥羽天皇を祀る神社。幻想的な夜まいりが体験できます。

 島根県の隠岐諸島は、島根半島の北約65キロの日本海に浮かぶ、約180の島々からなる諸島だ。そのうち、「島前」と呼ばれる3つの島(西ノ島、中ノ島、知夫里島)と、最大の面積を持ち空港も擁する「島後」に人が暮らしている。

女神たちがお産をしたという明屋海岸。澄んだブルーが心に沁みる。(C)海士町観光協会

 2013年に隠岐世界ジオパークとして認定された隠岐諸島は、本土と接したり、離れたりを繰り返した結果、独自の生態系や暮らしぶりが育まれてきた。映画『もののけ姫』のような神秘の森や、竹灯篭に導かれる夜の隠岐神社への参拝など、まるで異世界に迷い込んだような体験も。

 そんな不思議いっぱいの隠岐をめぐる、ゆるり旅はいかが?

vol.03 中ノ島

昼間の隠岐神社も荘厳な雰囲気。地元で後鳥羽天皇は親しみをもって語られる。(C)海士町観光協会

 島前の3島のひとつ、中ノ島。万葉の時代から遠流の地として、政治犯や貴族が追いやられてきたが、中でも承久の乱に敗れ、19年間ここで過ごした後鳥羽上皇は、島の人にとっては近しい存在。今でも「ごとばんさん」と呼ぶほどだ。流刑でやってきた都人たちの影響もあってか、島には神楽や祭、島料理など、独自の文化が育まれている。

 一周約89キロと小さな島ながら、神社を17カ所数え、「日本の名水百選」に選ばれるほど、湧水が豊か。まるで昔話の舞台のような、のどかさを感じる島だ。ちなみに、町名は島名と異なり、「海士町(あまちょう)」。町名の方が地元では馴染んでいるが、ここでは島名でご紹介。

2017.11.03(金)
文・撮影=古関千恵子