若い求職者をサポートする
トレーニング機関としての役割も

 遡ること1980年代の前半、ロンドンの地元ビジネスマンたちが集まって、「若い求職者たちの助けになるようなビジネスを興そう」ということで、当時ブームとなっていたガーデンセンターに着目。1983年に現在のロケーションの近くに、地元自治体から格安で土地を借りて、カムデン・ガーデンセンターは誕生しました。

 91年に現在地に場所を移し、これまでの34年間で、約300人の若者をトレーニングし、社会に送り出してきたのだそうです。

左:屋外の売り場に表示されているサイン。雇用と研修、学習の機会を地元の人々にもたらすチャリティ団体であることが明記されています。
右:屋外の売り場には、バラやハーブなど、イングリッシュ・ガーデンには欠かせないプラントが揃っています。
イングリッシュ・ガーデンでは丸く刈ったり、好きなかたちに刈り込んだりと多様に使われているセイヨウツゲも並んでいます。
異なる種類の花やプラントをバランス良く配置したコーナーもあり、自宅のガーデンづくりの参考になりそうです。

 「ここではトレーニングを提供すると同時に、カレッジの学費も提供し、なんらかの資格を得ることを奨励しているのです。トレーニングを受けた人は、造園家になったり、別のガーデンセンターに就職したり、ほかの販売業に就職したりとさまざまな仕事へと羽ばたいていきますが、過去の研修生のなかには、自分でガーデンセンターを興した人もいるんですよ」とピーターさんは振り返ります。

カフェの店内。週末やランチタイムには、満席になることも頻繁。

 2年前には、2階部分にカフェ「プリッチャード&ユーア」もオープン。ロンドン近郊で生産されたオーガニックやフェアトレードの食材を使用した軽食と飲み物は、地元住民からも人気が高く、いつも人で賑わっています。

 もちろん、ここでは飲食業への就職に向けたトレーニングも行っていて、研修生に新しい業種への扉を開く役割も担っているのです。

左:カフェで提供されるコーヒーは、もちろん、地元ロンドンでローストしているワークショップ・コーヒーのもの。紅茶もロンドンを拠点とするポストカード・ティーズの各種を使っています。
右:ケーキ各種がディスプレーされているガラスケース。自分の目で見てセレクトできます。
コーヒー豆や茶葉、ジュースなどの販売も行っています。
カフェの端っこには、園芸本が並んだ本棚もあります。

 カムデン・マーケットでショッピングを楽しんだあとは、散歩ついでに運河沿いを歩いて、カムデン・ガーデンセンターのカフェでひと休みするのもおすすめです。

Camden Garden Centre
(カムデン・ガーデンセンター)

所在地 2 Barker Drive, St Pancras Way, London NW1 0JW
電話番号 0207-387-7080
http://www.camdengardencentre.co.uk/

安田和代(KRess Europe)
日本で編集プロダクション勤務の後、1995年からロンドン在住のライター編集者。日本の雑誌やウェブサイトを中心に、編集・執筆・翻訳・コーディネートに携わる。
ロンドンでの小さなネタをつづったフェイスブック www.facebook.com/kresseuropelimited
運営する編集プロダクションのウェブサイト www.kress-europe.com

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文・撮影=安田和代(KRess Europe)