夏から秋へと移ろうこの時期、山口へ出かけてみませんか。自然からもらう癒しとパワー、萩で過ごすのどかな時間など、夏の余韻と秋らしい趣も楽しめる“心地よい”スポットがたくさん。次の旅計画に加えたくなる、山口をとことん楽しむプランを3回にわけてお届けします。

» 第1回 海が誘う特別な時間【角島、青海島、仙崎】
» 第2回 絶景に癒され、湯宿で憩う【秋吉台、長門】

Vol.03_城下町・萩で“ひと目惚れ”を探して
【萩】

 今から400年前に、毛利輝元によって築き上げられた城下町・萩。長い年月を経た今も、昔ながらの武家屋敷と商人の住まいがそのまま残っていて、風情たっぷり。ぶらり気ままに歩いて目にとまったお店に入って。そんな時間旅行をさらにもりあげてくれる、趣のあるカフェや、萩の名産との一期一会を楽しめる、とっておきのスポットを紹介。

昔ながらの武家屋敷が残る
風情のある町並みをそぞろ歩き

重要文化財に指定されている菊屋家住宅。昼間なら内部見学も可能。
木戸孝允宅がある江戸屋横丁通りは、華やかな表通りとは異なり、侘びた雰囲気が美しい。

居心地のいいカフェで“萩時間”に浸る

 江戸時代の地図がそのまま使えると言われるほど、昔ながらの風情が残る萩。歴史的建造物のほか、武家屋敷や商人の住まいがそのまま残っている。ひと目見たらきっと虜になる、萩の趣。中に入ればタイムトラベル気分を味わえる、ふたつのカフェを紹介。ほっと一息つきながら、その風景を心に刻みたい。

庭園を眺めながら過ごす
コーヒーブレイクは、穏やかな贅沢

◆庭園カフェ 畔亭(ほとりてい)

屋敷内のどこからでも庭を望める。

 約800坪の広さを誇る、網元のお屋敷を改築したカフェ。現在の店主は二代目。都内でバリスタをしていた経験からコーヒーに関しては妥協ゼロ。ブラジル産最高ランクのスペシャルティコーヒーの豆のみを使用し、萩焼のカップでもてなしてくれる。

 おいしいものを提供するだけでなく、心地いい空間で食べて欲しいという思いから、広い日本庭園も丁寧に手入れされている。店内に展示している萩焼は購入可能だとか。ほとんどが一点ものなので、ピン! ときたら、迷わず手に入れて。

地元の人気洋菓子店で人気のスイーツメニューがオンリスト。萩産の米粉入りでしっとり噛みごたえある生地は、濃厚クリームと好相性。「赤米粉のロールケーキ」500円、コーヒー 500円(食事またはケーキとセットの場合は250円)。
長州の黒毛和牛ハンバーグと、萩のブランド豚であるむつみ豚との合い挽き肉で作られた、旨みたっぷりのハンバーグは必食。洋食屋を思わせる懐かしい味わいのソースが、店内の雰囲気にぴったり。ごはんは、萩のお米に雑穀を加えたもの。「長萩黒毛和牛のハンバーグプレート」1,500円。
部屋は全部で3タイプ。ほどよい緊張感がある奥座敷は、海外からの旅人に人気だとか。

庭園カフェ 畔亭
所在地 山口県萩市南片河町62
電話番号 0838-22-1755
営業時間 11:00~16:30(L.O. 16:00)
http://www.hotoritei.com/

萩の“手仕事”があふれる
古民家カフェ

◆晦事(コトコト)

北欧の家具が古民家の設えとマッチ。

 人力車の俥宿を営む夫と、ギャラリーを切り盛りする妻が、人力車にのせる客向けの休憩所としてスタートさせたカフェ。

 萩の作家を中心に、夫婦が好きなアイテムが揃う店内は、まるで萩のセレクトショップ。そのどれもが、作り手のやさしさが伝わるものばかり。萩のエスプリを感じる作品にふれたら、坪庭が見えるカフェスペースで寛ぎのひとときを。

看板メニューは夏みかんを使ったスイーツ&ドリンク。「夏みかんゼリー」300円、「夏みかんスカッシュ」450円。
県内外でファンの多い、大屋窯の作品も多く取り扱う。生活に取り入れやすいデザインながら、表情はどれも個性的。“目”があったものをインスピレーションで選んで。
萩焼の窯元に生まれ、イタリア・フィレンツェでジュエリー制作を学んだ、濱中孝子さんが手がける焼きもののアクセサリー。シンプルでさりげないながらも、ぬくもりのある佇まいは、濱中さんの手作業がもたらすものかも。都内から買い付けがあるほど人気。「Hamanaka Takako」ピアス 16,000円、ネックレス 18,000円。
萩産の夏みかんと砂糖だけで作られた、ヘルシー&フレッシュな味わいが人気。「萩マルマレット」左から、ジンジャー、シナモン 各600円、プレーン540円。

晦事
所在地 山口県萩市呉服町2丁目32
電話番号 0838-26-7199
営業時間 10:00~17:00(季節により変動)
定休日 第2・4火曜
http://www.haginet.ne.jp/users/kurumayado/co_top.html

 次ページでは、萩の海産物と地酒を満喫。

2017.09.09(土)
文=吉村セイラ
撮影=佐藤 亘