2つのウィングが全面リニューアル

ガーデン・ウィングの「ガーデン・ルーム」。チャオプラヤ川の眺めが大きな窓からワイドに広がります。

 贅を極めたホテルがひしめくバンコクにあっても、格の違いを感じる、マンダリン オリエンタル バンコク。名立たる文豪たちが定宿として選び、時代を問わず、セレブリティから愛されている。チャオプラヤ川に面した館内に一歩踏み入れば、その気高いオーラに包まれ、背筋がすっと伸びてしまうほど。

白とセラドングリーンの上品な色使いの、オーサーズ・ウィングと、ガーデン・ウィング。

 前身のオリエンタル ホテルが誕生してから140周年を迎えたことを機に、2016年、オーサーズ&ガーデン・ウィングのリニューアルを敢行。土台を残した以外は、天井も取っ払った全面改装となった。

アフタヌーンティーが人気の、オーサーズ・ラウンジ。こちらも色調が明るく変わった。

 一番のオドロキはオーサーズ・ウィングの2階(有名な「オーサーズ・ラウンジ」の上階)にあった「オーサーズ・スイート」の仕切りを取り除き、「グランド・ロイヤル・スイート」という一間に再構成したこと。広さ600平方メートルはバンコクのプレジデンシャルスイートのクラスで最大面積を誇る。

「グランド・ロイヤル・スイート」の核となる、「ロイヤル・スイート」のリビング。
「ロイヤル・スイート」のベッドルーム。この部屋の裏に、ちょっとしたワンルームマンション級の広いバスルームが。

 具体的には1ベッドルームの「ロイヤル・スイート」(315平方メートル)+2ベッドルームの「アンバサダー・スイート」(165平方メートル)が合体し、さらに家族や側近向けのゲストルーム3室からなっている。ちなみに、「ロイヤル・スイート」と「アンバサダー・スイート」を、別々に利用することも可能だ。

「アンバサダー・スイート」のサンルーム。

 マンダリン オリエンタル バンコクの頂点となる、この「グランド・ロイヤル・スイート」は、まさに世界中からえりすぐられた逸品を取り揃えた、夢のような空間。

 応接間やミーティングルーム、ガラス張りのサンルーム、フル装備のキッチン、マシーンジム、ウォークインクローゼット、パウダールームなど、あらゆるスペースがあり、迷子になってしまいそう。チャオプラヤ川を望むオープンバルコニーが復活したのも、注目したいポイントだ。

文・撮影=古関千恵子