日本人シェフ×シチリア人シェフの
美味な競演イベントが開催
甘味、酸味、塩味、苦味に続く第五の味覚、“旨味(旨み)”。日本料理には欠かせないものだけに、日本人にはたいへん馴染み深いものですが、海外ではまだまだ新しい味覚。1908年に日本で発見されて以来、世界が認知したのは80年代頃と言われ、一般的に知られるようになったのは、「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されてからのこと。
そもそも該当する言葉がなく、そのまま“UMAMI”と表現される旨味。なんだか美味しそう? だけど、実はどんなものかイマイチ不明……。そんな謎めいたUMAMI、イタリア人も興味津々です。
さて、そんな旨味の本場・日本から、極上の昆布と鰹節と煮干しを携え、2人の日本人シェフがシチリアに上陸しました! 茅場町「ロットチェント」や「イル・テアトリーノ・ダ・サローネ」、「ビオディナミコ」などを率いるサローネグループの総料理長・樋口敬洋シェフと、横浜「サローネ2007」の永島義国シェフ。
彼らが、今をときめくシチリア人シェフたちとコラボレートして、日本の食文化UMAMIとシチリア料理の融合を試みるイベント「Palermo chiama Tokyo!」を開催し、現地で大きな話題となりました。
かつての修業先でもあるシチリアの地に再び降り立った2人は、ミシュラン1ツ星に輝くパレルモの名店「バイ・バイ・ブルース」でシチリア風日本料理を、人気リストランテ「セストカント」で日本風シチリア料理を、ラウンジ系バー「ミダ」でシチリア風寿司を……と、3夜3コンセプトの日本×シチリアクロスオーバー料理を、各店のシェフと協働して展開。
さて、どんな料理が披露されたのか? 第2夜の料理全品とイタリア人の反応をご紹介しましょう!
まずは、粉末にしたオリーブオイルと山椒を添えた「魚介のモルタデッラ」とイタリアで話題の「モロミ・フォルマッジョ(もろみチーズ)」のアミューズから。
もろみチーズは、和歌山のチーズ専門店「コパン・ドゥ・フロマージュ」オーナー宮本喜臣さんが考案し、名門熟成工房グッファンティ社と共同開発したもので、ほんのりと香る醤油と濃厚なUMAMIが衝撃的! な逸品。悩殺されるイタリア人も続出でした。日本とイタリアの伝統発酵文化を融合させたドラマティックなチーズからスタートとは、まったく心憎い演出です。
アミューズと一緒に出された飲み物は、食前酒ではなく、なんとお出汁。和食以外にも使えるよう旨味成分を抽出したものだそうで、まずはUMAMIのピュア体験といったところでしょうか。「いろんな味がする……」と低くつぶやくイタリア人たち…。そんなお出汁がシチリア料理にどう使われるのか? 期待が高まります。
文・撮影=岩田デノーラ砂和子