世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。

 第152回は、シアトルの魅力を掘り下げた映画、そしてこの街の尽きせぬ魅力を、小野アムスデン道子さんがレポートします!

文化・食・自然が五感を刺激する街

五感それぞれから感じるシアトルを撮った『FIVE BY FIVE』の新進気鋭の監督たち。ユタ州のサンダンス映画祭で。

 アメリカ北西部最大の都市シアトルは、マイクロソフトやアマゾンといった企業の顔が先行しているかもしれないが、レーニア山やピュージェット海峡などの自然に囲まれ、興味深いミュージアムや美食など自然と都市の魅力を併せ持つ街だ。

サンダンス映画祭が開かれるのは、ユタ州のスノーリゾート地パークシティ。時期は、毎年1月中旬の雪深い頃だ。

 五感が魅せられるシアトルをショートフィルムで撮ったプロジェクト『FIVE BY FIVE』がサンダンス映画祭に出品された。

 インディペンデント映画を対象とするサンダンス映画祭に出展されたショートフィルム5本は、5人の監督が「Touch, Sound, Smell, Sight, Taste」という異なるテーマで捉えたシアトルを1日で撮り上げるというプロジェクト。

『FIVE BY FIVE』のショートフィルムは全米ネットワークのサンダンスTVで放映される。
サンダンスTVにて。ショートフィルムのプレミアパーティのバーの背景には、サスクワッチのアニメーションが流れる。

 自然に囲まれているため“エメラルドシティ”という愛称を持つシアトルの森に生えた木が、さまざまな美しいクラフトに変化していく様を捉えたもの、シアトル生まれのジミ・ヘンドリックスや学生時代をシアトルで送ったブルース・リーにとってのシアトルを表現したもの、牧場のミルクと農場のベリーの果実が都心に運ばれてアイスクリームになるまでを追ったもの、伝説のサスクワッチ(ビッグフットと同様の長い体毛を持つ巨人)が山から出て都心を巡る一日をアニメ―ションで表現したものと、それぞれ個性的だ。

Taste(Clea DuVall)
Scent of a Sasquatch(Drew Christie)
Touch of Seattle(Ian Cheney)
All at Sea(Martha Stephens)
Jimi Could Have Fallen from the Sky (Terence Nance)

 この5本を見て感じられるのは、シアトルの文化、食、自然の3つが、それぞれの監督の五感と心に響いたであろうこと。

2017.03.21(火)
文・撮影=小野アムスデン道子