Column：新店来訪！美味しい出合いに一番乗り

今秋イチの注目スポット、赤プリ跡地
洗練中華で旨味たっぷりの鮑を味わう

GOURMET

2016.9.26

コースは中盤から後半へ。
肉、魚、麺、デザートと感動の嵐が巻き起こる！

きゃーっ！思わず歓声が！

それも仕方ありません。だってこんがり揚がったた鶏がまるまる運ばれてきたんですもの。

おいしさの秘訣は「温度」、「2度揚げ」、そして「十分に休ませる」こと。シェフ曰く“最後は余熱で火入れする“くらい。何を使うかは企業秘密。

適度な脂があるふっくらとした肉質を持つ1.8キロ以下の熊野地鶏の雌は、この丸揚げのためだけにシェフがありとあらゆる鶏の中から選び、仕込みから時間と手間をかけた自信作だそう。

皮はパリパリ、中はしっとり、よく使われる言葉だが本当にそうなのだ。いや、さらに上をいくパリパリにサクサク、しっとりとまろやかな肉質はまさに丸揚げの醍醐味。

まずはスパイシーでエキゾチックなシナモンの香りを感じ、次にパリサクの皮としっとりとした肉に顔がほころぶ。素材の力を信じ味付けは塩とほんの少しのグラニュー糖のみ。

これにはすごい秘策があるそうですが、ここでは教えられません。気になるならお店でシェフに訊いてみてください。

次は黄ハタの蒸し物。

「長崎県産黄ハタとヤウマッチョイの蒸し物魚介コラーゲンスープ」は初めにこの状態でテーブルに。これからスープが注がれる。

はじめに魚と野菜が盛り付けられたお皿が運ばれ、あとからスープが注がれます。魚も野菜も確かにおいしいのですが、ごめんなさい、すべてはこの魚介のスープにもってかれました。

魚介のコラーゲンスープが注がれる。香りに癒されながらこれから訪れるであろう口福に期待で胸が高鳴る瞬間。

梁田シェフが「いまマイブームなんです」と言うスープは白身魚の骨と頭を220℃の油で揚げることでコラーゲンが出やすくなる。紅生姜と白粒胡椒、たっぷりのパクチーを入れて高温で一気に炊き上げ究極の味に仕上げる。

香ばしい匂いとほんの少しピリッと効いたスパイス、さらりとしながらコクがあり、これは素晴らしい！ハッと気がつくと半分くらい飲んでしまっていた。危ない、危ない。

シメは「渡り蟹と香港イーフー麺の和えそば」でした。渡り蟹の濃厚な風味をまとった麺に黒酢が心地良くあっという間に完食し、デザートの桃が入った牛乳プリンが口の中をさっぱりとしてくれました。

小麦粉も水も使わず卵だけを練って作るイーフー麺は中国五代麺のひとつ。その色艶と香りの良さに芳醇な蟹がプラスされればおいしくないわけがない！

香港で大人気のスイーツと「牛乳プリン」はほどよい甘みとなめらかな口当たり。果肉がたっぷり入ったパイナップルケーキもシンプルゆえ職人の技が光る。

大満足のコースがこれにて終了。テーブルで温めながら飲むお茶のまろみが良く何度もお代わりしているとシェフが挨拶に来てくれました。

不躾ながら味の秘訣などを訊いてみると、「素材の持ち味をどれだけ活かせるかです。調味料をなるべく使わず、時間をかけて素材から旨味を引き出すことをずっと守ってきています。」とのこと。

化学調味料ゼロ、火入れも必要以上にしない、食材は3日で期限切れにする、といった独自のルールから創られた料理は味、食感、香りがとてもナチュラル。すぅ～っと、身体にしみわたるものだった。

新しく生まれ変わった場所にできた高揚感あふれる店。

洗練された料理とワインで20年前と同じようにキラキラと輝く時間を過ごすことができる。あぁ、なんて幸せなのだろう。大人にはこういうことが必要なの。

さ、明日も頑張って働くとしますか。そうそう、今なら頂湯スープも干し鮑もある「オープン記念特別ディナーコース」がなんと8,800円！これを逃す手はありません。今すぐ予約を！

ザ・シノワテイストオブカントン
所在地東京都千代田区紀尾井町1-2 東京ガーデンテラス紀尾井町3F
電話番号 03-6256-9881
営業時間 11:00～15:00(L.O.14:30)／17:30～22:30(L.O.21:30)
定休日無休
予算コースはランチ1,800円～、ディナー12,000円～／1名、アラカルトは1,000円～
※2016年9月末までのオープン記念特別ディナーコース8,800円
［2016年8月訪問］

高橋綾子(たかはしあやこ)
東京都生まれ。フードバプリシスト。国内外ファッションブランドのPR時代に培った食のデータと人脈を武器に“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ日々。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。