気になる世界の街角から

気になる世界の街角から

シチリアのマンマが年に一度漬けるのは
梅干しじゃなくて、オリーブ!

オリーブの楽しさはオイルだけじゃない!

今年も搾りたてのオリーブオイル「ノヴェッロ」の季節がやってまいりました!

 オリーブといえば、昨今、日本でも極上のオリーブオイルが割合簡単に手に入るようになり、以前と比べればだいぶ身近な存在になりました。オリーブの実を搾っただけの天然オイル。その味を知ると知らないとでは、人生の豊かささえも変わるのではなかろうか、と思わせるほどに魅力的。特に12月頃から出回り始める新オイルは格別で、喉を刺すピリピリとした新鮮な刺激に、はまる人が続出です。もし「ノヴェッロ・オイル」を見つけたら、ぜひとも体験してみて下さい。

品種によって色はさまざま。搾り立ての美しい緑や黄緑が、食欲をそそる!

 と、いきなりまとめてみましたが、今回はオイルのお話ではなく、塩漬けのお話。オリーブの産地では、搾ってオイルにするのみならず、塩漬けにしても楽しまれています。

 塩漬けは、イタリア語で「Olive in salamoia(オリーベ・イン・サラモイア)」。サラモイアは塩水のことですので、正確には塩水漬けとなります。実際、塩だけで漬けるタイプもありますが、ここでは、塩水漬け=塩漬けで話を進めます。

 シチリアでは、オリーブの木々は専門農家の畑だけでなく、少し郊外に離れればどこの家庭の庭にも見られるもので、収穫時期にはおばあちゃんの梅干しよろしく、各家庭で塩漬けを作るのが習慣。塩漬けの話を出せば、「○○さんちのおばあちゃんが漬けたのが最高だね」「うちの奥さんが作る塩漬けが世界一」など、牧歌的な会話も聞こえてきます。ちなみに、シチリアの郊外では、土地を買うとオリーブの樹木がセットで付いてくる!(しかも数百本単位) なんて物件もあります。さすが本場です。

自家製の塩漬けは、各家庭それぞれの味わい。

 さて、シチリアのオリーブの塩漬け。代表的なものには、オリーブの粒を丸のまま漬けるタイプのほか、石で軽くつぶして作る「スキアッチャータ」があります。スキアッチャータは、塩漬け後、セロリ、ニンジン、オレガノなどその土地でとれる作物を加えるのが伝統的。シチリア語では、「Alivi scacciati e cunzati(アリーヴィ・スカッチャーティ・エ・クンツァーティ)」と呼ばれます。一応、イタリア語では、潰して和えたオリーブ、の意となります。

左:オイル用のオリーブは手摘みのほか、電動くま手でバラバラと地面に落として収穫。
右:昨年はイタリア全土、冷夏で収穫量が減りましたが2015年は豊作です!

 シチリア人曰く、「スキアッチャータは、よりシチリア的」なのだとか。農家の方々が農作業に出向くとき、かつてはランチにスキアッチャータとパンを家から持って行ったものだそうです。それはまるで、おにぎりと梅干しのよう。世界広しといえど、基本的なところはあまり変わらないものですね。ただし、飲み物はお茶ではなく、ワインですが。

左:「うちのオリーブだよ」。郊外の家の庭にはオリーブの木々が当たり前にあります。
右:各家庭でも作る塩漬けオリーブ。空気に触れさせないことが最も大事。かつては塩水面にオリーブの葉っぱをのせて「蓋」にしていたそう。最近は専用のプラスチックの押し蓋も売られています。

 オリーブ畑が連なる産地エリアには、オリーブ搾油場はもちろん、巨大な塩漬け工場も見つかります。最稼働時期である晩秋にお邪魔して、製造過程を見学してきましたので、写真と共にご紹介しましょう。オリーブ好きは……涎に注意しながら、次のページへ、クリック・プレーゴ!

<次のページ> オリーブの本場カステルヴェトラーノの塩漬け工場へ

2015.12.10(木)

文・撮影=岩田デノーラ砂和子
取材協力=Calogero Romano、Francesco La Croce、Hiroyuki Watanabe

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