佐々木俊尚のニュース解体新書

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『BACK TO THE FUTURE』で描かれた
2015年に実現しているテクノロジーは?

【KEY WORD:BACK TO THE FUTURE】

 最近、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が盛りあがっています。1980年代の古い映画ですが、この映画の第2作(1989年公開です)で主人公たちがタイムトラベルした先が2015年10月21日だったからなんですね。80年代に夢想された未来が、実は今年だったということ。

 『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』には、当時予想された2015年の未来テクノロジーがたくさん出てきます。もちろんタイムマシンとか、羽根もないのに空を自在に飛ぶクルマとかは実現していませんが、映画の中に出てくるガジェットにはすでに実現しているものもたくさんあります。

 マイケル・J・フォックス演じる主人公のマーティーが未来世界で乗る、空中に浮かぶスケートボード「ホバーボード」。そんなの不可能だろう、と思う人も多いでしょうが、すでに実用化されつつあります。

実用化されている技術の数々

 米国のスタートアップ企業が開発した「HENDOホバーボード」という製品で、磁力を使ったもの。今年じゅうにも販売開始とされています。すごいですね。ただし路上で使うのはまだ無理で、アルミや銅などの導電性のある材質が貼ってある地面の上でだけ走行可能とか。またトヨタの高級ブランド「レクサス」も同じような原理のホバーボードを試作しており、こちらは専用のレールの上だけで浮くしくみになっています。

 マーティーが未来のカフェに入ると、ゲーム機が設置してあります。このゲーム機の前で手を振ると、そのジェスチャーで操作できる仕組み。これはとっくに実現していますね。マイクロソフトの技術「キネクト」がそうです。距離センサーや映像センサー、加速度センサー、指向性マイクなどを使って、人の動作やしぐさを認識することでゲーム機などの操作を実現しています。

 マーティーの未来の家では、子供たちが大型のゴーグルのようなものをかけて、何かの映像を見たり、電話を受けたりしています。これはまさにグーグルグラスであり、もうすぐ発売されるVRの機器「オキュラスリフト」ですね。さらに家のシーンでは、マーティーが大型のスクリーンで知人とテレビ通話しているシーンや、クレジットカードを手もとの機器に通して決済している様子も描かれています。前者はスカイプなどでごく当たり前になっているし、後者はいま流行りのモバイル決済ですね。スクエアなどの企業が、スマートフォンに接続してカードをすべらせるだけで決済できる超小型の機器を発売しています。

 ほかにも屋外看板のホログラフィや、音声認識で自動的に灯りがつく住宅、画面を6つに分割して同時に6チャンネル視聴可能なテレビ受像機など、実現していたり、制限付きでほぼ実用化が進んでいるようなテクノロジーはたくさんあります。26年前の映画の未来予測は、意外にも的を射ていたと言えるでしょう。

 2015年から26年先というと、2041年。この時代にどんなテクノロジーが当たり前になっているのかを予測するのも楽しそうですね。

佐々木俊尚(ささき としなお)
1961年兵庫県生まれ。毎日新聞社、アスキーを経て、フリージャーナリストとして活躍。公式サイトでメールマガジン配信中。著書に『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『キュレーションの時代』(ちくま新書)、『家めしこそ、最高のごちそうである。』(マガジンハウス)、『自分でつくるセーフティネット』(大和書房)など。
公式サイト http://www.pressa.jp/

2015.11.02(月)

文=佐々木俊尚

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