店がオープンした時と1ヵ月後にチラシを500枚ずつ近隣に配ったそうだが、客足の反応は弱く、じり貧状態。ついにそば屋だけで食べていくことができなくなり、4月の終わりには仕事を掛け持ちでやることを決意したというのだ。いつ営業しているのかよく分からない。「休業日は不定期(すみません)」とも書いていた理由はそういうことだったのである。

「旬の天ぷら」を考案したり、「肉そば」も豚バラの厚肉や鶏天を用意したりと工夫をいろいろして奮闘しているのだが、どうも空回り感が否めないと店主は嘆く。

どうしたら店を軌道にのせることができるのか

 こんなにおいしいそばうどんを提供しているのに「風前の灯」というのは何ともつらい。せっかく食べに来ておいしいのだから、私と友人は俄然、応援しようということになったわけである。どうしたら「そばうどん一丁目一番地」を軌道にのせることができるのか。

 立ち食いそば好きが高じて独学で店をやるのは勢いである。運がよければヒットすることもあるだろう。しかしそれには忍耐が必要だ。一般に立ち食いそば屋は赤字でも3年続けることができれば、その後営業は軌道にのるといわれている。「立ち食いそば3年、柿8年の法則」というのがあると考えている。その間いかに苦心してアイデアを出し乗り切るかが生き残る鍵となる。そのために必要なことがいくつかあるので列記してみる。

1)天ぷらなど具材に個性がある(自家製、ラインナップが多いなど)

2)つゆに個性がある(自家製、関東風の濃い味、関西風など)

3)そばうどんに特徴がある(自家製、生麺、茹で麺でもうまいなど)

4)キラーメニューがある(肉そば、旬の天ぷらそばなど)

5)利用客に店の味をアピールしている(季節メニュー、セットメニューなど)

6)店の情報を近隣住民にアピールしている(POPやチラシなど)

7)店の情報をITで広く発信している(SNSでの告知、営業情報など)

8)店が綺麗でオペレーションがよどみなく運営されている(利用者が好印象を持つなど)

2024.05.08(水)
文=坂崎仁紀